常にスタッフと目線を同じにすることが肝心!気になる!となりのエステサロン「サロンの人材育成について教えてほしい!」(中編)

となりのエステサロンの第11回のテーマは「人材育成」です!前編では、人材育成における方針と、未経験採用と中途採用とで気を付けていることや変えていることについてうかがいました。
中編では、これまで複数人の育成をしてきたなかで印象に残っていることやエピソードと、人材育成において失敗したと思った出来事について聞いていきます。

お話をうかがったのは

エステティックサロンパールケイ

服部恵 様

大阪市西区北堀江

結果の出るハンド技術と、チョコレートにこだわった、ハリ肌専門サロンパールケイ。エステティシャン歴20年、書籍出版やメディア活動も行う服部恵が運営。エスグラ顧客満足全国1位など、様々な受賞歴を持つサロン。


Instagram:@pearlk.mh

ヨニ活サロンゆらぎ
武川明子 様

渋谷区神宮前

表参道に【ヨニ活サロンゆらぎ】を立ち上げ2年。ちつケア・ヨニ活で世界中の女性を健康に美しく!をスローガンに体の中から潤い人生100年時代を生き生きと輝き謳歌する女性を増やしたい。
今まで延べ3万人以上の施術経験から生まれたちつケアが心までも潤い、ほぐれると多忙な女性の支持を頂いています。悩みも気軽に話せる雰囲気も◎

Instagram:@yuragi2021
HP :https://yuragi-yonikatsu.com/

前編では、人材育成における方針と、未経験採用と中途採用とで気を付けていることや変えていることについてうかがいました。

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中編では、これまで人材育成をしてきたなかで印象に残っていることやエピソードのほか、人材育成において失敗したと思った出来事について聞いていきます。

Q これまで人材を育成してきたなかで、印象に残っていることやエピソードはありますか?

せっかく人材育成をするのならば、長く一緒に働いてくれる人材に巡り合いたいものです。 2人のサロンオーナーは、成功と失敗、両方の体験をしていました。

服部さん(以下 服部):ひとりのスタッフから、ある日『服部さんはONE PIECEのルフィみたいですね』と言われました。私は人材育成をするときに、一方的に自分のスキルを教えるのではなく、その人の良い部分を伸ばすような方針を取っています。また、サロンの発展のためにスタッフの意見を積極的に取り入れることも意識しています。雇用関係ではありますが、上下関係というよりも仲間や同志として接しているため、そのスタッフの目にはそのように映ったのかもしれません。

私自身、その例えがとてもしっくりきて、それ以来、意識的にONE PIECEのルフィをお手本に経営を考えるようになりました。サロンを発展させられているのは、私ができない部分を周りの方たちに支えてもらっているからにほかなりません。決して私ひとりの力ではないということを忘れないようにしています。

ただ、私も良いスタッフにばかり恵まれていたわけではありません。急に『もっと他にやりたいことができました』と背を向けられてしまったこともあります。前日までは『一生ついていきます』と言ってくれていたのに、なぜこのようなことになってしまったのだろうと落ち込みました。たくさん悩んでいるうちに、そのスタッフに期待を寄せるあまり、できない部分を改善するようなアドバイスばかり送っていたことに気がつきました。意図せずにその方のライバル心を煽ることになってしまい、その結果、関係性が壊れてしまったのです。優秀な方ほどこのような傾向があるように思いますが、それもこれも憧れられるオーナーになれなかった私の実力不足が招いた結果。とても苦い経験です。

武川さん(以下 武川):これまで何人ものエステティシャンを雇用してきましたが、その中では良いこともあれば、少し驚いてしまうようなこともありました。

まず、良かったと思うことは、私の右腕として活躍してくれたスタッフに巡り会えたことです。その方は現在自分でサロンを開いていますが、今でも連絡を取り合っています。結婚や出産など、人生の節目となる報告が聞けるのはとても嬉しいことです。時には悩みを聞いてあげることもあり、雇用関係が無くなった今も交流があります。人と人とのお付き合いができるというのはとてもありがたいことだと思います。

スタッフの人材育成と子育ては似ています。良い関係を築けると、このようにまるで家族のように付き合っていくことができるのですが、当然ここまで良い関係性を築けないこともあります。過去に一番驚いたのは、1日だけ出勤して翌日から来なくなってしまった方がいたことです。まだ今ほどLINEが普及する前、LINEで「辞めます」とだけ連絡が来て、その後音信不通になってしまった方もいました。これはいまだに強く印象に残っています。

Q このほか、なにか「失敗したな」と思われた出来事はありますか?

これまで複数人の人材育成を行なってきた2人に、特に印象に残っているエピソードについて聞くと、自分のサロンで活躍してくれそうな人を見極めるというのは特に難しい部分だということがわかりました。

服部:当サロンには事務とアシスタントとして10年くらい働いてくれているスタッフがいます。長い付き合いなので私の人柄も把握してくれていますし、言わんとしていることもすぐに汲み取ってくれます。しかし、新規スタッフとここまでの関係性を築くのには長い時間を要します。誰でも自分の考えを持っていて、その考え方や判断基準のものさしを変えるのは非常に難しいことです。どちらが良い悪いということではなく、お互いの考えや理念に共感しあえないこともあります。お互いの価値観や感覚を同じにする作業はとても難しいことなので、そのあたりの失敗は何度かしています。

また、現在は労基が厳しいというのもネックになっています。営業時間内はお客様がいらっしゃるため、施術の練習をさせてあげる時間が取りにくいのです。そうなると営業時間終了後に練習してもらうしか方法がありません。しかしそうは言っても、自主練習に残業代を支払うのもいかがなものなのだろうかと思うと、なかなか育成にかけられる時間を捻出するのが難しいというのが現状です。

武川:若い頃は自分が望むことをやってほしいと、スタッフにお願いをしてばかりいました。人材育成は子育てと似ていると気がついた今では、この方の良いところを伸ばしてあげたいなと思いながらスタッフと接していますが、当時はサロンをもっと発展させたい、お客様にもっと喜んでいただきたいという気持ちが先走り、クレームが入るたびに『もっとこうしてくれたら良いのに』とスタッフへの不満を抱えていました。私のそのようなネガティブな感情は、きっとスタッフの負担になってしまっていたのではないかと思います。

このような失敗を経てからは、その方と目線を合わせることを忘れないようにしています。これを心がけてからは、楽しみながら向かっていけている気がしています。

採用側がサロンのコンセプトや理念、働き方のイメージなどを具体的に伝えることが大事

人材育成においては、エステティックに対する思いや考え方、熱意や熱量などエステティシャンの芯となる価値観のすり合わせ、サロン理念への共感、そしてそれらの共有が不可欠なのですね。

次回はスクールでの育成とサロンの従業員の育成で変えていること、またこれから初めて人を雇い、育成していく方へのアドバイスについて語っていただきます!

後編は▼こちら▼からチェック!