2020年からのコロナ禍により、多くの対面サービス業と同様にダメージを受けた美容・エステ業界。
しかし経済が再び回り始めるにつれ、お客様の足もエステサロンへと戻りつつあります。
そんななかで、エステティック通信の読者であるエステサロンオーナー様からは、新規採用だけでなく即戦力となる中途採用に非常に苦労している…という声を多く耳にします。
そこで、法人・個人のエステティックサロンやエステティシャンの皆様を幅広く支援する当メディアでは、美容・ヘルスケア業界に特化した求人サイト『リジョブ』にて法人営業を担当する武田匡⼈さん・吉澤涼⾹さんに、中途採用を成功させるためのポイントを取材しました。
シリーズ全4回にわたり、「エステサロンを取り巻く採用状況」「先を見据えた採用戦略の立て方」「人材が集まる求人広告の作り方」「求人広告の成功事例」にそれぞれスポットを当てて取り上げ、エステサロンの中途採用に役立つ情報を紹介していきます。
第1回目となる今回は、現在の美容・エステ業界の求⼈市場、求職者のニーズ、中途採⽤のトレンド、withコロナ対応などを中心に、エステサロンを取り巻く状況がどのように変化してきているのかを聞きました。
【リジョブ】とは
リジョブは、美容師/エステティシャン/セラピスト/マッサージ師/整体師/リフレクソロジストなど、美容・リラクゼーション・治療に関わる業界に特化した求人転職情報サイト。
美容・ヘルスケア業界特化型の求人メディア リジョブ
2009年のサービス開始当時、業界初の成果報酬ウェイト型サービスで、コストを抑えた採用を実現。会員登録数500,000人・掲載店舗数30,000件と業界最大級の掲載数を誇ります。
利用者は業界経験者や資格保有者の比率が高く、未経験者からマネージャー・店長クラスまで希望に合った人材を確保しやすいのが特徴。
登録者へ直接アプローチできるスカウトメール機能など、効果的な採用ができる独自のサービスもエステサロンや施設のオーナーに好評です。
【この人に聞きました】
法⼈営業Div. シニアマネージャー
武⽥ 匡⼈(たけだ まさと)さん
2016年中途⼊社/東京都出⾝。⼈材派遣業界を経て⼊社。法⼈営業Div.の成果を上げ続ける敏腕マネージャー。中途初の幹部候補として組織創りにも携わる。
【座右の銘︓初志貫徹】
法⼈営業Div. 営業担当
吉澤 涼⾹(よしざわ すずか)さん
2018年新卒⼊社/群⾺県出⾝。本格派テニス⼥⼦。⼤⼿顧客の採⽤⽀援を担当する法⼈営業として、⽇々奮闘中。2019〜2020年度リジョブ年間社内表彰において、メンバー賞を受賞。
【座右の銘︓⾃分の限界を⾃分で決めない。とにかくやるべきことをやる。】
コロナ禍の影響と求人市況の変化は?
まずは、直近のもっとも大きなファクターである「コロナ禍」とエステ業界との関わりについて、業界を俯瞰して解説していただきました。
-新型コロナウイルスの流行が業界に与えた影響と、コロナ後の求人・採用市況の変化について、見通しをお聞かせ下さい。
武田匡⼈さん(以下、武田):コロナで大幅に客足が減少した後、売上・求人数ベースともに回復が早かったのは、やはり生活に不可欠な美容室やヘアサロンです。エステやボディセラピーは付加価値的にとらえているお客様が多いため、来店を控える方が多かったことが求人の減少につながりました。
現在は回復傾向とはいえ、都市部を中心に求人数はおおむねコロナ前の80~90%前後で推移し、なかでも大手チェーンでは新規採用を控えて既存店からのフォローで回している印象ですね。
大手で採用が難しくなった原因として、人流制限や密を避けるため大人数での集合研修が実施できなくなったこと、業界全体でオンライン面接の導入などのIT化が遅れていることも挙げられます。
-ITツールの活用も採用に影響を与えるのですね。
武田:そうですね、他業界ではコロナ禍をきっかけにオンライン面接が普及するなか、パソコンやオンライン会議ツールの使い方が分からないために採用の機会を損失しているオーナー様も見受けられます。
リジョブでは、初めてWEBで求人サイトを利用するオーナー様や「パソコンが苦手」という方にも安心して採用活動を行っていただけるようなサポート体制を整えていますので、まずは気軽にご相談いただきたいと思います。
エステ業界の課題~高い離職率の要因とは
続いては「エステティックサロン」という業界特有の離職・転職事情や課題についてお話を聞きました。
-エステティック・リラクゼーション業界は離職率が高いイメージがありますが、実際はどうでしょうか。
武田:エステ業界全体の離職率は平均10%以上と他業界に比べて高いというのは事実です。ただ、コロナ前・コロナ後ともに離職率は企業によってかなり差があります。また業務委託をメインとしている会社では、正社員を希望する人が増えたり再び業務委託に流れたりと求職者のニーズ変動が大きく、社会情勢によって左右されるという特徴があります。
-離職の理由はどういったものが多いでしょうか?
吉澤涼香さん(以下、吉澤):エステ業界の離職理由で多いものは主に次の3つです。1つ目はやはり女性が多い職場ということもあり、人間関係がうまくいかないということですね。2つ目は、お客様としてエステを利用していた方がキラキラしたイメージに憧れて就職してみたけれど、実際は地道でハードな仕事だった…というギャップ。3つ目は体力的にキツいということが挙げられます。
人間関係で離職する方は、サロンは変わってもエステ業界に残ることが多いのですが、体力面で「自分には無理だ」と判断されると他の業界に転職する方が多いですね。
-たしかに、痩身などはかなり体力が必要ですね。体力的に負担の軽いジャンルに転職するというケースもありますか?
武田:はい、エステ業界の中で痩身から脱毛やフェイシャルメインのサロンに転職する方もいらっしゃいます。2010年代以前は、痩身というと個人のスキル次第で高収入を目指すエステティシャンが多かったのですが、その分労働時間も長くなる傾向がありました。最近では時代の変化とともにプライベートも大切にしながら安定して働ける職場環境を求める人が増えている印象です。
とはいえ、手技や接客力を磨き、努力次第で活躍して高収入を得られるエステ業界には夢があると私は思っています。
未経験者の採用は前職の経験がカギ
-エステ業界は、興味関心があれば未経験からの中途採用でもチャレンジできるのでしょうか?
武田:そうですね、むしろ、研修制度が充実しているサロンが多く未経験の方でも活躍できる場が多いので、未経験の方の応募もかなり多くなっております。もちろん美容業界経験者であればすぐに活かせるスキルがあるのでメリットは大きいですが、依然売り手市場の今、経験者にこだわらず、面を広げた方が採用の幅が広がるのは事実としてあります。
そこで注目したいのが前職での経験です。一定の売上や手技の習得は大前提になりますが、マネジメント・顧客管理などの経験があれば、店舗の管理や部下の育成など包括的に経営をシェアできますよね。
また前職がアパレル販売などで個人売上や数字目標を追ったことがある人は、エステティシャンやセラピストの業務と親和性が高く、経営モデルを理解してもらいやすいでしょう。
今後のエステサロン採用で求められるもの
-今後、順調に採用活動を展開していくには、どのようなポイントが重要になってきますか?
武田:コロナ禍前後ともに、依然エステ業界は売り⼿市場が続いています。その中で他社との差別化をはかるには、「今の時代」の求職者ニーズをしっかり把握し、それに応えていく姿勢が欠かせません。
近年、採用を成功させているサロンや会社では、休⽇や福利厚⽣を充実させる動きが多く見られます。
完全週休⼆⽇制やフレックスタイム制などの休⽇改善、夏季・冬季休暇、休憩時間の確保、時短勤務、残業時間の明確化などを打ち出すことで、ライフワークバランスを大切にする求職者からの応募が集まりやすくなることが分かっています。
また、現在は少数ではありますが、今後託児所を併設しエステティシャン・お客様ともにお子さまを預けられるサロンなどは、出産で離職した経験者の復帰に加え、子育て世代のお客様の来店も期待できるのではないでしょうか。
■今回のまとめ
コロナ禍の影響と求人市況の変化
・都市部を中心に求人数はおおむねコロナ前の80~90%前後で推移
・大手を中心に求人数も減少傾向
・同時に売り手市場・求人難も続いている
エステ業界の課題
人間関係/イメージと現実とのギャップ/体力的負担の大きさから、離職率が高くなっている
採用難解消のカギは
・未経験者の中途採用も活用したい
・前職でマネジメントや営業担当者は活かせるスキルがある
今後のエステサロン採用で求められるのは?
ワークライフバランスの充実など、いまの求職者のニーズに応えること
次回は、サロンの強みを活かし、先を見据えた採用を進めるにはどのような部分に力を注ぐべきなのか、戦略の立て方についてアドバイスしてもらいます。
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