女性の健康美を支えるカナメ 今こそ知りたい!フェムケアのこと

女性の美と健康に携わる美容業界において、‘‘当然知っておくべき知識‘‘となった「フェムケア」。しかし、世にあふれる情報から正しい知識や安全な製品を見極めるのは容易ではありません。改めてフェムケアの基礎を学び直すとともに、「そんな製品を学ぶべき?」という疑問を解消しましょう。

女性の体の変化と向き合い“自分らしい毎日” をサポート

フェムケアとは 「Feminine (女性)」と「Care (ケア)」 を組み合わせた造語で、月経や妊娠・出産、 更年期といった、体の機能やホルモンバランスの変化による女性特有の悩みを解消する製品やサービスのこと。 日本では、2020年に議員連盟が発足したのを機に啓蒙活動や関連製品・サービスの開発が加速。 エステティック業界においても、その知識や製品を活用して、 より美しく健康的な毎日をサポートしようという意識が高まっている。

お話をうかがったのは

(左から)山口 明美さん、武川 明子さん

株式会社3FACE 代表取締役 山口 明美さん(写真左)

美容業界歴25年。さまざまな婦人科系の不調に悩まされたときに「膣ケア」「膣トレ」に出合う。 自身の体調が回復したのを機にさらなる勉強を始め、今では膣についての教育や製品開発、セミナー講師など、幅広い活動を続けている。

ヨニ活サロン ゆらぎオーナー 武川 明子さん(写真右)

結婚・出産を経てエステサロンを開業。以降、20年にわたる活動において、 女性本来の美しさを引き出すメソッド「ヨニ活」を開発。 2021年、女性の一生を心身ともに美しく支えたいと、表参道に「ヨニ活サロン ゆらぎ」をオープン。

日本におけるフェムケアはまだまだ"発展途上"

エステサロンやセミナーでフェムケアの啓蒙に取り組まれていますが、近年、お客様の反応はいかがですか?

武川さん(以下、敬称略):私たちエステティシャンにとって、今やフェムケアは”もう知っていて当たり前”。のことになりつつありますが、 サロンにいらっしゃるお客様の意識や認知度はまだまだ低いのが現状です。実際に「ケアをしている」という声を聞くことは少ないですし、 フェムケアという言葉は知っていても「何をすればいいのかはわからない」という方がほとんど。 まだまだこれからの分野なのかなと実感しています。

山口さん(以下敬称略):世界のフェムケア市場規模は、2025年には7兆円にまで成長するとされていますが、日本ではようやくドラッグストアなどの一般の方が手に取りやすい場所でも関連製品が販売されるようになったばかり。 フェムケアという言葉の認知度がやっと上がってきた、というところではないでしょうか。

武川:現在私は、サロンに来店されたお客様にフェムケアの重要性をお伝えする座談会を開催して、 子宮や膣のことを学び、日々のケアについての意見交換を行なう機会を提供しています。そのなかで感じるのは、体についてきちんと理解している人が非常に少ないということ。女性が自分の体と向き合い、理解する・・・・・・それがまさにフェムケアであり、”自分を大切にする”ことにもつながるのではないかと思うのです。

山口:私自身、ひどい生理痛をはじめ、妊娠・出産によるさまざまなトラブルに悩まされてきましたが、「膣ケア」 「膣トレ」によってそれらが改善しただけでなく、ダイエットにも美肌にもよい影響が。このように、知れば得しかないのがフェムケア。私が主催する講習では、生理など女性の体の周期に合わせた「よりサロン施術の効果を高められるタイミング」もお伝えしていますので、皆さん本当に熱心に耳を傾けてくださいます。

武川:最近ではネット検索でフェムケアに関する情報や知識の収集が可能になりました。 ですが、「実際にケアしてみたらこう変わった」といったリアルな体験はなかなか聞けませんから、そうした話への関心はかなり高いですね。

「フェムケアを通じて”女性としての喜び”や”心のゆとり”を伝えていきたいですね。」と語る武川さん

正しいケア・製品選びには確かな知識が欠かせない!

今、多くの 「フェムケア製品」開発・販売されていますが、選ぶ際にチェックすべきポイントがあれば教えてください。

武川 :まずはとにかく安全であること!特にデリケートゾーンは経皮吸収率が高いので、よいものも悪いものもすべて吸収してしまいます。化学物質をはじめとする余計な成分が入っていないか、香料は最低限の使用にとどめているかなどを成分表示欄で確認することが重要です。

山口:デリケートな部分に使用する製品ですから、説明書にある文章をそのまま、「血流がよくなる」、「くすみが改善する」などとお客様に伝えているようではダメ。フェムケア製品を扱うのであれば、専門家レベルで膣や子宮についてお話しできるくらいの知識を身に付けることが重要であり、原料や香料、容器の性能まで見極められる目を持つべきです。 今はフェムケアについてわかりやすくまとめられた著書もたくさんありますし、さまざまな講習も開催されています。 ぜひそういったものを利用して、 正しい知識を身に付けてください。

「女性ホルモンを整えるアプローチによって、肌も体も、そして心も驚くほど変わります!」と語る山口さん

エステティシャンがフェムケアの知識を身に付けると、どんなメリットがあると思われますか?

山口:医療の現場でも膣レーザーやハイフなどの治療が行なわれていますが、そうした”治療”に抵抗のある人は多く、また悩んではいるものの「医療に頼るほどではない」と考える人も少なくありません。 そうした方の相談先としては、やはりサロンが最適なのではないでしょうか。また子宮の働きなど、1カ月間の女性の体の周期を学ぶと 「痩せやすい時期」「肌あれが起きやすい時期」などもわかりますので、より効果的な施術提供が可能になるはずです。

武川:いつもよりお客様の肌あれがひどいと感じたときに「生理前ですか?」と声を掛けるのは、サロンでは日常的なこと。肌と生理、デリケートゾーンの悩みは、決してかけ離れたものではありません。フェムケアの知識を身に付ければ、お客様の体の状態に応じて最適なアドバイスができるのではないでしょうか。

山口:私自身が「膣ケア」「膣トレ」で肌も体も心も変わったようにフェムケアを実践した方の多くは、まさに”奇跡”のような経験をされています。 今後も自分の体だけでなく、大切な友達や母親、自分の娘、孫.....すべての女性のためにフェムケアを伝えていきたいと考えています。

武川:女性は初潮から始まって、更年期、そして閉経と人生の半分以上をゆらぎながら生きていきます。だからこそ自分の体に興味を持ち、対話し、知ることはとても大切。今後、さらにフェムケアへの意識が高まり、「マイナスなこと」と思われていた生理も楽しめる…そんな時代になれば、女性の生活はもっとイキイキと輝いたものになっていくはずと信じています。

エステティシャンができる!フェムケアのこと

〇”自分の体と向き合う”意識付けを

フェムケアの基本は「自分の体に興味・関心を持つ」こと。 年齢によるゆらぎを感じ始める4~50代になってからではなく、早くから自分の体と対話し、向き合うことの重要性をお客様へ伝え、ケア意識を高めてもらうことが大切。

〇女性の体・製品知識を習得しよう

デリケートな部分の悩みと向き合うフェムケアは、女性の体はもちろん、製品に配合される成分に関するしっかりとした知識を持つことも重要。さまざまな著書や講習なども活用しながら“正しい知識”の習得を心がけて。

エス通本誌の注目企画「女性の健康美を支えるカナメ 今こそ知りたい!フェムケアのこと」をご紹介しました。(2023年4月号掲載)

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