文章力? それとも撮影のディレクション力?
突然ですが、『エステティック通信』の編集部に配属されたばかりの新人が一番最初に身につけなければいけないものは何だと思いますか?
上記に挙げたスキルももちろん大切です。
しかし入社したばかりの新人を最も苦しめるのは、今までの人生ではあまりなじみのなかった、エステティック業界とは切っても切り離せない“アレ”。
薬機法&景表法 の知識です!
エステティシャンの皆さまも、どんな表現なら法律で許されるのか悩んだことがあるのでは?
しかし調べてみても、使ってはいけない言葉がたくさんあることがわかるだけで、どう言い換えればよいかは教えてもらえないことも……。
そこで今回から始まる連載では、エス通編集社員としてそれなりに勤務している筆者が、あの手この手で法律の網をかいくぐろうとした努力の軌跡をご紹介。
うまく言い換え表現を見つけたことも、はたまた撃沈したこともありますが、少しでも皆さまの参考になりますように。(不定期連載)
【その1 抜け道を探す】
編集部に配属されて半年くらいのころ、ふと「化粧品や健康食品自体の広告は規制が厳しくても、配合されている成分なら存分にアピールできるのでは?」という悪知恵が働きました。
つまり……
この化粧水には美白効果があります!→NG
ナイアシンアミドには美白効果があると言われています。~~この化粧水にはナイアシンアミドが含まれています!→OK?
なのではないかと考えたのです。
これが大丈夫なら一気に原稿を書くときの表現の幅が広がる。そう考えた筆者は期待に胸を膨らませながら検索窓に「薬機法 成分の説明」と打ち込みました。
【結果は……?】
調べているうちに、次のような資料を見つけました。
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化粧品における特定成分の特記表示について
1 特記表示が認められない事項
(1) 「生薬エキス」、「薬草抽出物」、「薬用植物のエキス」のように名称に「薬」の字が
含まれるもの
(2) 「漢方成分抽出物」のように医薬品という印象を与えるもの
2 特記表示して差し支えない事例
「植物成分」、「植物抽出物」、「天然植物エキス」等
3 上記1及び2以外の事例
(1)配合目的を併記すれば表示して差し支えない。なお、配合目的は化粧品について効
能効果の表現の範囲であって事実であること。
(2)写真、デザイン(英文等の表示を含む)については近くに「○○(△△として配合)」
と記載する。
(昭和47年2月2日 薬監第27号 厚生省薬務局監視課長通知)
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まとめると、
①化粧品の広告において特定の配合成分を強調するときには注意が必要 ②その場合は配合目的をきちんと明記する必要がある ③配合目的は化粧品の広告で表現可能な範囲に限られるため、「美白成分」や「肌荒れ防止成分」などと謳うことはできない |
であり、具体的に言うと、
肌にハリを与えるエラスチンを配合→「肌にハリを与える」が化粧品の広告で表現可能な効能・効果に含まれるためOK
美白効果のあるアルブチンを配合→「美白」が化粧品の広告で表現可能な効能・効果を逸脱するためNG
ということになります。
成分の説明であっても十分に注意する必要があることがわかり、筆者の野望は潰えました。
【今回の学び】 化粧品自体の効果でも、配合成分の効果でも、言えないものは言えない! |