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受け継いだ創業の想いと日本初の挑戦で エステ業界の革新と美容業界の発展に貢献【株式会社シェイプアップハウス 代表取締役社長 下村 留弥以氏】エステティックへ真摯に向き合うサロン経営者12人が語る 美容業界の目指すべき未来とは
終わらないコロナ禍に、激化する競争、今の時代にエステサロンが生き抜くことの難しさを痛感している人も多いのでは。
そんななか第一線で成果を上げ、サロンオーナーの皆様にとって“お手本的存在”といえる経営者が目指す“未来”についての話から、これからの美容業界の、サロンの、あるべき姿を探る。
エス通オンラインでは、8名へのインタビューを特別に掲載!
今回は、株式会社シェイプアップハウス 代表取締役社長の下村 留弥以氏へのインタビューをご紹介します。
株式会社シェイプアップハウス 代表取締役社長
下村 留弥以氏
立教大学国際経営学部卒業後、帝国ホテルでサービスとおもてなしの本質を学び、2015年、ミス・パリ・グループに入社。2021年9月、(株)シェイプアップハウス、ならびに(株)ミス・パリ・ジェイピーエヌの代表取締役社長に就任。エステサロン「ミス・パリ」「ダンディハウス」を経営。
創業当時から守り続けている理論に基づいたサロンづくり
創業者である母・下村朱美が24歳の頃、エステサロンへ行ったときのこと。一生懸命に施術するエステティシャンたちに感動した一方で、施術の意図や仕組みを質問しても、理論的な答えが返ってこないことを、残念に思ったそうです。この出来事がきっかけとなり「理論に基づいたサロンをつくりたい」という想いで1982年に創業しました。
40年経った今でも母のその想いは弊社の“教育の基盤”として受け継がれていて、私自身がエステティシャンとして入社した際も、850時間以上に及ぶ実践的訓練を受け、理論と技術を習得しました。弊社では、厚生労働大臣の認可を受けた「実践型人材養成システム」を導入し、長年の実務経験に基づく知見とノウハウを組み込んだ独自の研修プログラムを確立しています。さらに、2004年には業界初となるISO 9001*を全サロンで取得しました。一流ホテルのような高級感のある洗練された空間・スタッフのホスピタリティ・高い技術力・効果を出す指導法など、7つの品質目標を掲げ、全社一丸となって“高品質のサロンをつくる”ことを目指し、サービスの品質向上に努めています。
2020年からはコロナ禍の影響を受けて、来客数が激減しましたが、今年ようやく積極的にお客様の呼び戻しができるように。ワクチン接種の普及や日常生活に感染予防対策が浸透したことから、皆様が「人に会いたい」と思い始めてきたのではないでしょうか。人恋しいと思うお客様にとって、サロンは肌やプロポーションを整えるだけでなく、心も美しく豊かになる場所でありたいと思っています。
とはいえ、近い未来にコロナ禍が終息したとしても、少子高齢化が進むことで日本市場が縮小すれば、エステ業界の成長、拡大は望めません。その対策として弊社が視野に入れているのが、海外事業の推進。医学・スポーツ医科学的に効果が実証された“痩身システム”に加え、日本の高品質な化粧品と日本人のホスピタリティあふれるおもてなしがそろった、最高品質のサロン「ミス・パリ」、「ダンディハウス」を世界中に増やしていきたいと思っています。
さらに、国を越えての行き来が戻った後は、単価の高いエステティックやスパは、インバウンド消費にも貢献できます。弊社には、海外からいらっしゃるお客様に“日本を五感で体感してもらいたい”と2015年に銀座にオープンしたスパ「WASPA」があります。現在は、コロナ禍の影響で来店数が落ち込んでいますが、ポストコロナの未来に向けて、「WASPA」を中心に、日本だからこそ発信できる新しいスパ・ウェルネスを引き続き展開できればと思っています。
専門職大学でプロを輩出しエステ業界の発展に貢献
エステティック業界の課題としては、資格を持たなくても開業できる職種であることから、知識や技術力が十分とはいえないエステティシャンも少なからずいることが挙げられます。また、ITの進化やSNSの普及で“正しい情報”を判別できないほど情報があふれる時代となったことによる選別の困難さや、押し売りのようなセールストラブルを耳にする機会も増加。これらがエステティックの悪いイメージや偏見につながっているのではないでしょうか。エステティシャンは、お客様の大切な体をお預かりする立場ですので、正しい知識を身に付けて対応する責任があり、その環境を整える必要性を強く感じています。
そのため、私どもでは真のエステティシャンを生み出すための新しい教育の場所として、日本初の美と健康の専門職大学をつくろうとかねてから準備を進めてまいりました。そして、文部科学省より設置認可がおり「ビューティ&ウェルネス専門職大学」の開学が、2023年4月に決まりました。同校には、美と健康に関する知識と技術、さらに経営マネジメントまで習得できるカリキュラムが用意され、4年間でビューティ&ウェルネス学士を取得できます。今後弊社にも、専門性を備えたエステティシャンが入社してくれると思うととても心強く、楽しみで仕方がありません。これまでにない高いレベルのエステティシャンたちが輩出されれば、現場の先輩スタッフの意識も向上するでしょう。このように、エステティック業界の教育をレベルアップさせることで美容業界全体の発展にも貢献したいと考えています。そして、専門職大学の卒業生に期待するだけでなく、私自身学び続け、更なる高みを目指していきたいと思っています。
私自身の目標の一つは、資格が必要ないエステティシャンが、社会的地位が低いと認識されてしまう現状を変えること。母が日本初の専門職大学の開学を実現したように、私もエステティシャンの地位向上と高品質のサロン展開に邁進してまいります。
*国際標準化機構による品質マネジメントシステムに関する規格の総称
男のエステ ダンディハウス |
1986年に開業した、日本初の男性専用エステサロン。同社の高い技術力と指導法で、「メンズエステ」を日本中に浸透させた。痩身・フェイシャル・脱毛など充実のメニューでお客様の“美”をトータルサポートする。 https://www.dandy-house.co.jp/ |
エス通本誌の注目企画「エステティックへ真摯に向き合うサロン経営者12人が語る 美容業界の目指すべき未来とは」をご紹介しました。(2023年1月号掲載)
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