エステティシャンの育成や指導などに尽力されているベテランオーナーが、自身が経営や人生の選択に迷った際に読み返すバイブルを教えてもらう「あの人のバイブル」。

今回は、「小顔・美容矯正サロンpetit〜プティ〜」のオーナー、中野祐子先生の人生のバイブルを教えていただきます。

お話をうかがったのは

志村祥瑚著『人生のタネ明かし 成果を出す人に共通する心の秘密（講談社）』

エステサロンのオープニングスタッフから、店長・エリアマネージャーを経て30歳で独立し、心斎橋に個人サロン「小顔・美容矯正サロンpetit〜プティ〜」をオープン。

今年の4月には、店舗展開にも挑戦。新たにスタッフを迎え、トレーニングとエステを併設したボディメイクスタジオ「OAK.ｂ＆RANAN.beaute」をオープンし、多店舗のオーナーとして活躍される中野先生。

中野先生がバイブルとして挙げられたのは、日本中に感動を届けた新体操日本代表「フェアリージャパン」のメンタルコーチでもある志村祥瑚氏の著作です。

漠然とした不安に振り回される思考や感情を解き放ってくれた

本作では、精神科医にしてマジシャン、さらにオリンピック日本代表チームなどのトップアスリートのメンタルコーチも務める志村祥瑚氏のメンタルトレーニング法が紹介されています。

マジックと精神科学を融合した、ユニークなメンタルトレーニングのテクニックが、サロン経営にも大きなヒントを与えてくれたそうです。

中野先生とバイブルについてのお話をうかがいます。

作品との出会いを教えて下さい

作品との出会いは、私のスタジオで活躍するスタッフさんがオススメしてくれたことがきっかけです。

そのスタッフさんは、本を読むことが好きで話の引き出しが多く、お客様への寄り添い方も素晴らしい方。当時、リーダーとしてどうしていくべきかを悩んでいた私にこの本を勧めてくださいました。

それが、今回バイブルとして挙げた、精神科医でマジシャンという、異例の肩書をもつ志村祥瑚さんの著書。新体操日本代表をオリンピックで金メダルに導いたメンタルトレーニングが解説されており、写真や挿絵も多くて読みやすく、具体的な行動も記されていて、とても分かりやすい内容となっています。

作品と出会った時の自分はどのような状態でしたか？

作品と出会ったのは、新店舗をOPENし新たにスタッフを抱え、とにかく軌道に乗らせることに必死になっていた時期です。

個人サロンの時は、“いちエステティシャン”としてお客様から認めて頂き、サロンともども愛されてきました。お客様との距離も近く、自分のこだわりやおもてなしを直接お客様へ届けることができました。

しかし、新たに店舗を拡大しスタッフを抱えるとなると、自分が大切にしてきたこだわりやおもてなしをスタッフに共有しなければいけません。こだわりやおもてなしは、そこに想いが乗ってこそお客様に伝わるものだと思います。

スタッフに想いを引き継いでもらうため、スタッフの接客を見て指導するだけではなく、スタッフに私とお客様とのトークを聞いてもらうために自分の予約を両店舗で承り、新店舗と個人サロンを行き来する毎日が続きました。

2店舗を持つことで業務も増えるなか、育児・家事にも追われてしまい、てんてこ舞いになってしまいました。当時は、結果を出すことに必死になり目的を見失い、オーナーとして、またエステティシャンとして、時に母親として、「こうでないと」「こうしなければ」と思い込み、心に余裕がなくなっていたと思います。

オープン当初の漠然とした見えない不安に悩まされていた時期でした。

作品との出会いをきっかけにどんな変化があったか教えて下さい

作品と出会い、自分自身に縛られすぎていたことに気づきました。

オーナーとして、時には母親として、「こうでなければいけない」という固定概念に縛られていたため、想像する理想と現実の違いに焦って自信を無くしていたのだと思います。

この本では、他人の反応や未来の結果、自分の思考・感情に囚われず自分の行動にフォーカスすることで、人生を充実させ楽しめるヒントとともに、実際の行動にフォーカスするためのトレーニングが学べます。

フォーカスを変えれば、色んな困難や試練が訪れても、困難や試練そのものを楽しめる自分になります。この本と出会ったことで、簡単なことを難しく考えて余計にややこしくしていたことに気づき、よりシンプルに物事を考えられるようになりました。

自分について深堀して、自分自身が「どうしたい？」「どう行動するか」が明確になったことで、漠然とした不安や急に襲いかかる自信喪失から抜け出すことができました。

この本をバイブルとして挙げた理由は？

私は小心者ですが、挑戦することが嫌いではないし、アイディアを形にすることが得意です。これから先、挑戦や創造を積み重ねる過程では、何度も壁にぶつかり悩んだり立ち止まったりすると思います。そんな時、私は何度もこの本を見返すだろうなと思い、バイブルとして挙げました。

何かに挑戦するとき、失敗するか成功するか分からない不安を抱えるのは当然です。しかし、今までの私はそんな漠然とした不安に、思考や感情を振り回されていたことに気づきました。

それこそが、この本で解説されている「ミスディレクション」だったのです。他人の反応も、未来の結果や自分の思考も、コントロールできないものにはフォーカスしない。自分の「行動」だけにフォーカスすることが大切ということをこの本に教えてもらいました。

今後、スタッフや身近な方が、何か漠然としたものに足を取られて挑戦をためらったり、諦めそうになったりしていたら、この本をオススメすると思います。

ミスディレクションにとらわれずに自分が選ぶ「行動」にフォーカスする重要性を教えてくれるバイブル

2店舗のサロンを展開し、エステティシャンとして母親として忙しく働く中野先生のバイブルは、困難や試練であっても楽しむ考え方を教えてくれる本でした。

中野先生からのメッセージ

「もう辞めたい」と諦めそうになるとき、自信を無くしたとき、やらないといけないことが山積みになって身動きが取れなくなるとき、将来の不安でグルグル悩んでしまうとき、これから広がる未来の中で、他人の反応や未来の結果、思考・感情と、様々なミスディレクションにとらわれることがあるかと思います。

そんなミスディレクションを打ち破り「行動」を選べる人になれば、もっとこの仕事を好きになれるのではないのでしょうか？エステティシャンというお仕事を選んだことは、私や皆さんが自分で決めた最初の「行動」です。

きっかけや環境は違えど、皆様も最初の一歩を踏み出したという「行動」は同じ。もしも仕事やプライベート、人間関係で悩んだときはぜひこの本を手に取ってみてください。この本に書いていることを実行してみると、問題は思ったよりシンプルだったと気づけると思います。

エステティシャンを選んだ自分の人生を思いっきり楽しんで、素敵な物語の主人公になるために、これから進む未来があなたらしく輝くことを願っています。

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