エステサロンが人材採用をするなら、優秀で長く働いてくれる人材を採用したいものです。しかしながら、応募者全員がそういった方とは限りません。優秀な人材を見極めるためには明確な採用基準が必要です。後編では長く働いてもらうためのコツを人材育成のスペシャリストにうかがいます。
エステティックサロンの人材採用のコツ!優秀なスタッフを採用するポイントを聞く(後編)
エステサロンのスタッフを増やすなら、優秀で長く働いてもらえる人に来てもらいたいものです。
しかし、個人サロンで初めてスタッフを採用したいと思っている場合、どのように優秀なスタッフを見極めたらいいのかわかりませんよね。
前編では、個人サロンで多くのスタッフを採用してきた先輩に、実際の採用時のエピソードをうかがいました。
後編では、人材育成の講習で一般企業からの依頼が後を絶たないというサロン「エステWAM」の代表坂元さんにお話をうかがいます。
前編の記事はこちらから!
株式会社アルファイン エステWAM代表取締役 坂元勇介さん URL:http://www.alphain-inc.co.jp/ 2011年にアメリカの大学を卒業後、帰国。株式会社アルファインに入社し、人事採用を担当、学生の新卒採用などに携わるなかで、離職率の改善や採用システムの改良に努める。その後、2018年に代表取締役就任。 |
採用基準を明確にしておくことで募集から採用までの流れをスピーディに!
人手不足の今、採用はスピード勝負です。募集から採用までの流れをしっかりと見通して、採用までの計画を立てるようにしましょう。
人材育成のプロである坂元勇介さんに、エステサロンの採用に関する疑問を質問してみました。
Q エステサロンの採用で難しいのはどのような点ですか?
まず圧倒的に人手不足であるということが挙げられると思います。
採用というと厳正なる審査で選び抜く、というイメージが強いかもしれませんが、今の日本で、とくに小規模なエステサロンでは「採用してあげる」というような上から目線のスタンスだと応募自体が集まりません。
採用の基準や福利厚生・給与の設定を行ない、計画を立ててから臨むことが大事です。
Q 募集しても人が集まらない時の対応方法を教えて下さい
そうですね。“いかにして人を集め、のがさないか”が一番重要なので、募集の際に同じように募集をしているサロンと見劣りしない条件をそろえることが大切だと思います。
また、人が集まらないと採用サイトへの掲載料がかかり続け、コスト面にも負担がかかります。この点については、「採用課金型」のサイトへの登録がおすすめ。
最近、当社でも採用課金型のサイトに移行しましたが、低コスト化に成功していると実感しています。
Q 採用の基準にはどのような点がありますか?
あらかじめ考えておいた自社の採用基準に則って面接を行なうとよいでしょう。
ご自身のエステサロンにとって必要な人材を得るためには、判断基準は明確な方がうまくいくと思います。それは、服装や態度、声のトーンといったような最低限のレベルでOK。当社では面接チェックシートを設け、外見からの印象で5段階評価をつけています。
どれだけ気が合いそうな人でも、一番に考えなければならないのが、「お客様の前に出て大丈夫か」どうか。そこを数値化することで、最終的な採用の判断に至る前に、接客業に向いていない人は省けるような仕組みにできます。
そうして、ぜひ働いてもらいたい、という人に出会えたら、あとは営業のクロージングさながらに心をつかむのみです。面接というより説得といった方が近いかもしれませんね。
ご自身のサロンで働いてもらいたいという、熱い気持ちを伝えるとよいと思います。
自分のエステサロンにぴったりな人を探すポイント!タイプ別のおすすめ条件
やみくもな募集では人は集まりません。また、エステティシャンとしての経験があり、即戦力として見込める技術のある方でも、自分のエステサロンに合っているかは人を見てみるまで分からないものです。
自分のエステサロンが求める条件に合う人を見つけるために、アプローチする層を絞って効率的に募集をしましょう。
ワンオペサロンが即戦力となる技術のある方を採用したい
そんなタイプには、エステティシャン経験ありの時短希望ママがおすすめです。
この層は経験があるので、働き方さえ無理のないように考慮すれば即戦力確定です。子どもが成長するにつれて長く働けるようになることもあるため、将来的にもサロンにとってプラスになります。
面接時には、応募者がどのような働き方を望んでいるか、すりあわせをしておくことが重要です。
ワンオペサロンが雑務をこなしてくれるスタッフを2~3人採用したい
そんなタイプには、フリーター&美容に興味を持つ未経験者がおすすめです。
技術を問わないならば、一番数が集まりやすいのがこの層です。ただし誰でも採用するわけにはいかないため、明確な足きりの基準を決めてから面接に臨みましょう。
また、将来的にどうなりたいかはじめに聞いておくことで、辞めそうな時期に準備を開始できるなど、余裕を持って準備ができます。
店舗拡大のために店を任せられる人を採用したい!
そんなタイプには、現場に出なくてもOKなベテランエステティシャンを採用するようにしましょう。
店長の指導方針次第で店舗のカラーが変わるので、採用は慎重に選考する必要があります。経験者であることはもちろん、人間力を問われるため、前職で良好な人間関係を築けていたかの確認は必須です。
自分と店長の意思疎通ができているかも重要なので、心を許せそうな人であるかも大事なポイントです。
長く働いてもらうためには何に気をつける?
採用にはお金も時間もかかります。だからこそ、一回の採用でよい人材に長く働いてもらうための工夫が必要です。
現代人が仕事において重視する3つのポイントは以下の通りです。
・良好な人間関係
・今やっている仕事の意味がわかる
・自分の好きなことに没頭できる
この3点を満たせているか、キャリアチェックシート&面談でチェックして、働きやすい環境を作ってあげましょう。
引き続き、坂元さんに人材に長く働いてもらうために気をつけるべきポイントをうかがいます。
Q 採用してもすぐに辞めてしまいます。長く働いてもらうためのコツはありますか?
採用そのものよりも、今後どう働いてもらうかをしっかりとプランニングしておかなければ、延々と募集→採用→退職→募集……のループを繰り返してしまいます。
一般的に、1人あたりの採用にはコストが50万ほどかかると言われていますから、そうなると大変な損失となってしまいますよね。長く続けてもらうには、スタッフの思い描いていることと実際の仕事の日々とのギャップを最小限にとどめる必要があると思います。
転職は当たり前、慢性的な人手不足の昨今は、少し前までのように高い目標を与えて伸ばすよりも、“今”の充実度を重視した方が人がついてくるようになるでしょう。
Q スタッフはエステサロンで働くことに何を求めているのでしょうか?
タイプを問わず、これから採用する人々の多くが重視しているのが、「人間関係」「今自分のやっている仕事に何の意味があるのか」そして、「自分の好きなことができているか」の3つです。
例えば、タオルをたたむこと一つをとっても、これが何の役に立っているのか、意味づけをしてあげることがモチベーションアップにつながります。
現在の労働環境でこの3点が満たされているか、定期的にチェックすることが大切です。
面談などを行なうときには、社内でキャリアチェックシートを作るなどして、可視化するとよいと思います。
人材の採用にはスピード感が大切!長く働いてもらうためのポイントを意識しよう
エステサロンが人手不足を解消するためには、スピード感のある採用が求められます。
自分のエステサロンに合ったタイプに絞ってアプローチを行い、採用基準を明確に定めておくことで、採用までのスピード感を向上できます。
さらに、現代人が求める働き方のポイントを満たしてあげることで、スタッフに長く働いてもらい、人手不足の悩みから解消されます。
お昼には予約を入れずにスタッフとランチの時間を取るなど、スタッフが満足して働けているかのリサーチも重要ですね。