エステティシャンの育成や指導などに尽力されているベテランオーナーが、自身が経営や人生の選択に迷った際に読み返すバイブルを教えてもらう「あの人のバイブル」。
今回は、「プライムビューティーラボ」のオーナーとして活躍されている、広澤 康衣先生の人生のバイブルを教えていただきます。
お話をうかがったのは
株式会社プライムビューティーラボ 代表
広澤 康衣 先生
大学卒業後、銀行系システム開発の仕事に従事。
出産を機に退職後、エステティシャンへと転身する。
1999年 横浜の美容皮膚科クリニックにて、開院時の主任エステティシャンとして勤務
2001年 ホリスティックセラピストスクール開校とともに校長に就任
2002年 INFA(インファー)スクール新宿校の校長を兼任
2006年 独立し、英国IFPA認定アロマセラピストの資格を取得
2007年 (株)プライムビューティーラボ設立
2008年 赤坂に加圧トレーニング&エステサロンオープン
2011年「第1回エステティックグランプリ」審査員を担当
2012年 INFAエステティックスクール新宿新都心の校長に就任
2020年 全日本美容鍼灸連盟 倫理審査委員に就任
<取得資格等>
厚生労働省認定 鍼灸師
医薬品登録販売者
INFA(国際エステティック連盟)認定ゴールドマスター&プラチナマスター
英国IFPA認定アロマセラピスト
加圧トレーニングインストラクター
FTPマットピラティスインストラクター
ARTQ認定妊産婦ケアマスター
財団法人PHRF認定ヘルスケアカウンセラー
財団法人日本スポーツクラブ協会認定マスターインストラクター
タイ文部省認定タイ古式マッサージセラピスト 他
HP:https://primebeauty-labo.com/
スクール:@primebeauty_school
飯田 史彦著『生きがいの創造(PHP文庫)』
現在、エステサロンのオーナーに加え、指導者としても活躍されている広澤先生。
広澤先生がバイブルとして挙げられたのは、飯田 史彦先生の著書『生きがいの創造』です。
生命に関しての著者である飯田 史彦先生の経験を通して書かれているというこの本。広澤先生の人生における出来事の捉え方に大きな影響を与えた作品だそうです。
広澤先生にバイブルについてのお話をうかがいます。
この作品をバイブルとして挙げた理由は?
25、6年前に初めてこの作品を読んだのですが、書いてある内容にとても感動しました。ここまで読んで印象深かった作品はなかったので、今回バイブルとして挙げさせていただきました。
この作品に書かれている内容は、人と接したりエステティシャンとして仕事をしたりしていくうえで、すごく役に立ちました。エステと直接関係のある本ではありませんが、エステサロンを経営していくのであれば、読んで損はない作品だと思います。
作品と出会った時の自分はどのような状態でしたか?
友人から読んで良かった本だと紹介されてこの作品に出会ったのですが、当時の自分の状況が心身ともに大変だったので、すごく刺さったのだと思います。
この作品と出会ったのは、ちょうど3人目の子どもが生まれた頃でした。周りに頼る人もいなかったため、仕事をしながら育児をするのがとても困難でした。
一旦実家に戻り、家族の協力を得ながら仕事を続けましたが、やはりそれでも大変でした。当時は、「どうして自分にばかりこんなに大変なことが色々起こるのだろう」と思いながら日々に追われていたのを覚えています。
作品との出会いをきっかけにどのような変化があったか教えてください
この作品には、今起きていることは必然であること、自分がこの世に生まれてきたことは、生まれてくる前に全て自分で決めたことであると書かれており、とても衝撃的で、「そうだったんだ…」とまさに目から鱗でした。
そこから、人生で起きていることは全て自分で決めてやっていることの結果なのだと捉えられるようになりました。
子育てや仕事で忙しく、人間関係に悩む日々、しかし、これらも全て自分で決めたこと、それならばいつかクリアできることだと思って物事に向き合えるようになったのです。
もちろん中には「やはりつらい」と思うこともありましたが、自分で決めたことだからこれも修行の1つと思い、頑張る意味を見出せるようになりました。
また、「この世に生を受けて、生きているだけでも素晴らしい」ということが書かれていて、今のままの自分でもいいんだと思えるようにもなりました。それから、人生の出来事に対しての考えがすごく楽になったような気がします。
この作品から得た考え方が生きた場面はありましたか?
私は実は少し前に、大きなけがをしました。自転車での転倒により、足を骨折し、手術まですることになってしまいました。
そして転倒した際に、顔をアスファルトにぶつけ、ひどい擦過傷になってしまったのです。命の大事には至らなかったものの、病院の先生からシミが残ってしまうかもしれないと言われました。
エステティシャンや美容関係の職業上、顔に大きなシミがあれば仕事に支障があると思います。なので、一瞬、「もうこの仕事を続けることは難しいのでは…」と感じました。ちょうどお客様が多い時期でもあったので、病院のベッドで、毎朝鏡を見ては落ち込んでいました。
しかし、これも全て自分で決めたことなはずなので、ここで落ち込んではいられないと思い、行動を起こしました。ちょうどサロンで扱い始めた商品があったので、それを使い、シミのもとになる活性酸素を取り除くことに注力しました。
すると、顔のガーゼを取り替えるたびに傷跡がきれいになっていったのです。今では、傷跡もシミもまったくなく、お客様からも「本当に怪我をしたのかわからない」と言われるほどの状態になりました。
また、私がいない間、サロンのスタッフがすごく頑張ってくれていたのです。休みの予定だったスタッフが私の休んでいる穴を埋めるために出勤してくれて、とても助かりました。
私が復帰した後にお客様へ怪我をして休んでいたことを話すと、「え!?そうだったの!?全然知らなかった!」と言われたのです。そのくらいスタッフが頑張ってお店を切り盛りしてくれていて、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
この出来事をきっかけに、スタッフに対しての信頼が深まり、よりよい関係を築けたことは、起こる出来事には何か意味があるに違いないと思い、気持ちを切り替え、そこに向き合って考えられたからだと思います。
人生の仕組みを学べるバイブル
広澤先生のバイブルは、人はいかにして生まれ、生きているのかを学べる飯田 史彦先生の本でした。
●広澤先生からのメッセージ
私はエステティシャンの教育も行っていますが、よく言うことは、「朝一で来るお客様にも夕方に来るお客様にも、皆さんに同じクオリティのサービスを提供しなければならない」ということです。お客様一人ひとり、きれいになりたい、健康になりたいと期待を持ってご来店してくださっています。
朝一のお客様には最高のサービスができても、夜になるころには疲れてしまい、いらっしゃったお客様に疲れて満足なサービスが提供できないようではプロではないと思っています。
そのため、朝から晩まで100%、120%の力を注ぐのではなく、80%の力でどのお客様にも満足していただける技術を提供できるのがプロだと思います。もちろん80%といっても手を抜くというわけではなく、自分に余裕を持ち、それぞれのお客様のニーズを捉えることができるサービスを提供していくということです。
エステティックは決して作業ではなく、それぞれのお客様への技術と真心の提供であり、施術を通してお客様の心身と向き合う、という気持ちで取り組んでほしいと思います。
私もお客様に喜んでもらえるには何ができるかを考えた時、50歳を過ぎてから鍼灸師(しんきゅうし)の国家資格を取りました。人は学び続けて行動していくことで必ず結果につながっていくので、それを忘れずに人生に向き合ってほしいと思います。