「誰もが起業家になるチャンスを秘めている!女性の自立支援を支える決意を再確認できた本」
気になるエステサロンオーナーが経営や人生の選択に迷ったときに読み返す“バイブル”を教えてもらう「あの人のバイブル」。
第2回となる今回は、KWOOD Beauty International Inc.の代表であり、エステスクールの校長も歴任されている笠原道代先生のバイブルを教えていただきます。
お話をうかがったのは
笠原 道代 先生
スパ椿美人オーナー、KWOOD Beauty International Inc.代表。 一般社団法人日本グローバルセラピスト協会理事長、NICHIBIエステティックアカデミー校長。 現在、国内外のビューティセラピストの育成、
SPAのプロデュースなど多岐にわたり活動。
ムハマド・ユヌス 著『3つのゼロの世界──貧困0・失業0・CO2排出0の新たな経済(早川書房)』
「美容を通して社会貢献をしていきたい」と語る笠原先生がバイブルとして選ばれたのは、ノーベル平和賞を受賞されたムハマド・ユヌス著の後進国や貧困層で暮らす貧しい人々に自立する力を与えるヒントがもらえる本作です。
美容を通して社会貢献をする重要さを再確認させてくれたバイブル
今回ご紹介いただいた『3つのゼロの世界──貧困0・失業0・CO2排出0の新たな経済』は、貧困・失業・二酸化炭素輩出ゼロの社会を目指す、国際社会の問題点に踏み込んだ、ノーベル平和賞受賞者のムハマド・ユヌス博士の著書です。
バイブルとの出会いから、出会ってからの変化まで聞いていきます!
作品との出会いを教えて下さい
35年ほどメーカーのインストラクターやスタッフの育成、専門学校の教師、エステスクール校長などの人材育成に携わる中で、コロナ禍前までは海外で講習やセミナーを行う機会も多くありました。
2016年頃に、ベトナムで美容の学校やサロンを作るので相談に乗って欲しいというお話があり、美容専門学校やエステティックスクール立ち上げの経験がありましたのでアドバイスをさせていただくことになりました。
本著の著者ムハマド・ユヌス氏はバングラデシュの経済学者で、貧しい農村で暮らす女性の自立のために、無担保・無利子で少額のお金を貸して、利益が出たら返済する仕組みの「グラミン銀行」の創立者でもあります。
2015年に国連から「17の課題」が挙げられ、日本でもここ2、3年位でSDGsが注目されて来ましたが、私自身、それ以前からフェアートレードの案件に取り組んでいたこともあり、貧困0・失業0・二酸化炭素排出0の3つのゼロの世界を実現できるという本著に興味を持ったことがきっかけです。
その本と出会った時のご自身はどういう状態でしたか?
2014年から2015年頃に、カンボジアの美容ディーラーから、人材育成のオファーをいただきました。その内容はカンボジアで美容を発展させるためには人材育成が必要であるという強い想いでした。
後進国では、例えばシャンプーをしていてもお湯が止まるなど、インフラも充実しているとは言えません。その頃、カンボジアには美容の免許もなく、中には日本に来てネイルなどの美容の資格を取られる方もいますが、ベトナムや韓国で学んだ方がそのままお店を開くというケースが少なくありません。
そうした、スタッフやサロンオーナーに向けて、スキンケアのことやエステの施術方法などの講習をする機会もあり、私自身も女性の社会進出や自立支援に対して、美容の仕事を通じてできることがないかと考えている時期でした。
本との出会いをきっかけにどのような変化がありましたか?
内容に共感できる部分が多かったので、ムハマド・ユヌス氏が2019年に来日された際に講演を聞きに行きました。
講演の内容は、バングラデシュで起業した女性たちの実情で、農村部の女性たちのたくましさに大変刺激を受けました。後進国ではソーシャルビジネスをとりいれることが最も社会的な問題を解決するための手段であることを事例として取り上げておりました。
その後、私はベトナムの山岳部に住む少数民族のフェアートレード商品開発のために渡航しました。
このことをきっかけに資金を必要とする他の民族がクラウドファンディングで資金を集めて化粧品の製作につながったのです。人種を超え、固定観念に囚われずにスピーディな若者たちの発想や行動力を学ぶことができました。
資本主義が生んだ格差がある中で、発想することは誰でも平等に行うことができます。しかし、発想を形にするためにはお金が必要ですので、スポンサーやパートナーを探す必要があります。若い人の知恵やコミュニケーションは、人種を超え、その国にとって何が一番大切なのかが明確になっていくことで、クラウドファンディングを行う際にも非常にスピーディです。
私自身も、この本との出会いをきっかけに、ソーシャルビジネスの活用やパートナーとして仕事をしていくということを学べたと思っています。美容業界で40年働いている中で培った、美容を通した社会貢献の方法を、次の世代や後進国にも伝えていきたいと思うきっかけになりました。
この本をバイブルとして挙げられた理由を教えてください
私もビジネス書はたくさん読みましたが、今回はあえてビジネス書ではない本書をバイブルとして挙げさせていただきました。
人間の基本として、生きていくためには働く必要がありますが、私自身は、美容の仕事が大好きで好きなことを仕事にして生活の糧を得ています。起業家として、自分で自分の仕事を立ち上げる経験をしたことから、誰もが平等に起業家の精神を持つことができると説く本著に共鳴しました。
特に、コロナ禍の中では、会社に入っても失業してしまうリスクが高まりました。しかし、その際に、自分の得意分野が1つでもあれば、また、手に職(技術)があれば仕事が無くても自分で仕事を作りだしなんとか生き残ることができるという点に納得しました。それこそがアントプレナーシップです。
エステティシャンの人材育成だけではなく後進国の女性の自立にも貢献される笠原先生の人生のバイブル
今回は、KWOOD beauty international Inc.の代表であり、自身もオーナーエステティシャンとして活動しながら、スクールの校長として人材育成に尽力されている笠原先生のバイブルを教えて頂きました。
笠原先生からのメッセージ
美容の仕事が好きで、一生の仕事にしようと思っている若い方も多いと思います。 途中で他の仕事をしても、美容の仕事がしたいと戻ってこられる方も多いですが、自分の思いを信じて美容の仕事を長く続けていただきたいと思います。 好きなことを仕事にすれば、例えばコロナで苦境に立たされても好きだから頑張れる、諦めずに立ち上がることができます。 美容の仕事は幅が広く、エステの技術だけではなく商品開発や人材育成、組織づくりなどたくさんの人が関わっています。 関わりの中で学ぶ経験値を広げながら、美容を通してできる社会貢献にも取り組んでみてはいかがでしょうか。 社会貢献というと難しく考えてしまいますが、ボランティアに参加したり、困っている人がいれば助けて寄り添うだけでも十分です。 経験に勝る知識なしの如く、女性がいつまでも若々しく生きていくためのサポートができるこの、美容の仕事を通した経験を積み重ねて、これからも皆様自身の道を前進していかれますことを願っております。 |
エステティシャンとして35年以上のキャリアを持ち、美容業界の人材育成に取り組まれてきた笠原先生のバイブルは、誰もが起業家としての可能性を秘め、自分で仕事を作り出す素晴らしさを感じさせてくれる本です。
自分の現状を変えたいと模索している方や、これからエステサロンオーナーとして起業しようと考えている方は、本書を手にとってみられてはいかがでしょうか。
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