エステティックサロンの人材採用のコツ!優秀なスタッフを採用するポイントを聞く 【前編】
自分一人では手が回らなくなってしまい、エステサロンの拡大のために人を採用したいというのは前向きな悩みですが、人材の採用にミスをしてしまうと、エステサロンそのものの信頼も失いかねません。前編では、個人サロンから多くのスタッフを採用してきたエステサロンオーナーの方に、採用のコツをうかがいます。
エステティックサロンの人材採用のコツ!優秀なスタッフを採用するポイントを聞く 【前編】
「エステサロンを拡大したい!」「予約が多くて人手が足りない……」個人のエステサロンにとって、人手不足はうれしい悲鳴の反面、自分ではない誰かをスタッフとして迎えることは、ある種の“賭け”でもあります。
誰しも最初から人を見極める目を持っているわけではありません。
スタッフを増やそうと決めたとき、どのような手順を踏めばよいのか、どこを見て判断すればよいのか、そのはじめの疑問にお答えします。
前編では、個人サロンから大勢のスタッフを採用してきた先輩に、採用の苦労やコツを伺います。
採用のココが大変だった! 私の採用体験記
スタッフに自分の望むレベルを求めるのは難しいものです。
特に、個人サロンの場合、これまで一人である意味「気まま」に働いていた環境に新たなスタッフを迎えることになりますので、エステティシャンとしての技術はもちろん、一緒に働ける人間性も見抜く力が必要です。
実際に求人を出してみて、どのような難しさがあったのか?個人サロンからスタッフを増やしてきた先輩が、その経験を語ってくれました。
トップが変われば優秀な人材を引き寄せられる
個人サロンからスタートして、現在は20名の従業員を抱えるエステを経営する西島舞衣子さん。
最初のうちこそ、来るもの拒まずで失敗した経験もあるそうですが、理念を共有できる人材に絞って採用したところ離職率が減ったとのことです。
西島さんの募集から採用までの流れをうかがいます。
シークレットハンド 西島 舞衣子さん URL:https://s-hand.com/ 25才で開業後、6年で店舗を新宿・代官山にも展開。現在20名の従業員からなる会社と、独自技術を教えるスクールを運営。技術導入実績は100店舗以上。 |
私の採用ポイント!
〇美容に対する情熱をどれだけ純粋に語れるか
〇人間力・経済力の成長を望み、「人のために」の精神があるか
〇運を持っていて、やさしくて強い人か
Q スタッフ採用で失敗した経験はありますか。
私は、どんな人も受け入れて好きになってしまうタイプだったため、最初はすぐにいいなと思ってしまい、誰でも採用!状態だったんです。
でもすぐに辞めてしまったり、こちらの考えをわかってもらえなかったり……トラブルが絶えませんでした。履歴書でパッとわかる学歴や経験よりも、その人の人間性をある程度見抜けるまではたくさん失敗も経験しましたね。
Q その失敗はどのように克服していったのですか。
ビジネスマナーや観察力など、表面的なことは採用後にいくらでも伸ばせると思っています。
なので、その方がなぜエステティシャンをやりたいのかを聞き出し、その“なぜ?”の部分がうちのサロン理念と合っているかを見るようにしました。理念の共有ができていれば、「思っていたのとなんか違う」が防げるからです。
また、福利厚生も育休産休、社会保障制度はもちろん、有給休暇の取得率100%、社員旅行、美容代手当、マシン使い放題などかなり充実させ、それがスタッフの心の安定にもつながったと思います。
Q 今は募集から採用までどのようなステップを踏んでいるのですか。
採用ばかりに時間をかけていられないので、一次面接はほぼ電話で行なっています。
そこで会ってみたいと思えば、直接お会いしての二次面接に移ります。その方の「どうなりたいか」がはっきりわかれば、電話だけで決めてしまう場合も。
ほかにもスクール生徒さんからの応募や、最近はうちのサロンやスクールをみて親御さんが自分の娘さんを面接に連れてこられたり、社員の友達や知り合いのサロンオーナーさんが勉強も兼ねて働きにきてくれたりと、多方面からスタッフが集まり、ありがたい循環ができているように感じます。
トップに立つものが柔軟に変わり続ければ、人材の引き寄せ自体にも変化が出るのだと思います。
お客様の目線に立って接客されたいと思える応募者を採用
人事職としての経験の長い髙橋あすかさんは、いわば採用のプロフェッショナルです。
髙橋さんの募集から採用の流れを見ると、優秀な人材を採用するための大切なポイントを知ることができます。
採用する側もされる側も幸せになる採用の方法をうかがいます。
Ageless beauty salon Allige(アリィジュ) 髙橋 あすかさん URL:https://allige-beauty.com/ 上場企業や外資系化粧品メーカーにて人事として新卒・中途採用を数多く実施。2012年独立、エステティックサロンを開業し、現在は従業員3名で店舗を運営。 |
私の採用ポイント!
〇双方にとって幸せな採用になるかどうか
〇内面・外見の魅力があるか
〇一緒にお店を作っていく意欲があるか
Q 採用の難しさはどのようなところでしょうか。
一番難しいのは活躍してくれる人材を見極めることです。
自分とは違う生き方をしてきた人を少し会っただけで理解するのは至難の技です。お互いに働いてみて、合わないな……というすれ違いを生まないためにも、選考過程や選考期間にあせらないようにしています。
基本的な選考の流れは書類審査、面接2回(うち実技試験1回、性格診断1回)としていますが、まだ判断できないな、と思ったら選考ステップを増やすなどして、その方の本音が出やすいようにし、サロンに合うスタッフをじっくり探します。
Q 採用の時に自分なりに設定している基準やこだわりはありますか。
お客様の立場に立ってみて、この人に接客されたい、と思える人材かどうかをみます。
エステティシャンの仕事はお客様と長い時間を共にしますよね。そのなかで、技術以外にも魅力があるかどうかはお客様に支持される大きなポイントになります。
また、アリィジュは発展途上のエステサロンでもあるので、いちスタッフとして接客をするだけでなく、一緒にお店を盛り上げてくれる意欲があるかどうかも重要な判断材料です。
Q 今までの経験をもとに、採用にはどのような視点を持つべきでしょうか。
私はエステサロン経営以前から、人事の仕事で採用に数多く関わってきましたが、結論、人が人を見抜くことはできないと思っています。面接という短い時間では特に。
ですので、サロンのコンセプトやどういった働き方をしてほしいかについて、採用側がしっかりとイメージを持って、選考に臨むことが大事だと感じます。 そのうえで、自分の固定観念を捨てて、じっくりと人を見ます。
何か自分の中で引っかかると思ったところは、掘り下げてみるとだいたい当たるので、採用の前に不安は払拭できるように、選考ステップは慎重に設けています。
人材の採用はエステの未来を支える大切な選択!丁寧な選考で人を見る目を養おう
スタッフを採用してエステティシャンとして働いてもらうということは、そのスタッフが自分のエステサロンの顔の一つになるということでもあります。
エステサロンのスタッフに求められるのは、施術の技術だけではなく、お客様から信頼され、愛される人間力も重要です。人手不足だからと誰でも雇い入れるのではなく、理念に合った一緒に店舗を盛り上げてくれる人材を採用したいですね。
後編では、人材育成のプロに、優秀なスタッフの見極め方についてうかがいます。