商圏は店舗経営を行うために必要不可欠な集客の地理的範囲のことです。サロン経営においても、店舗経営は周辺の環境に影響されやすいため、商圏の正確な把握をかかすことはできません。この記事では商圏の目的と使い方、実施のポイントを紹介します。商圏分析を行う際の参考にしてください。
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【技研商事インターナショナル】とは エリアマーケティングGIS(地図情報システム)の開発、販売、サポートを行なっています。2,000社以上の導入実績によるノウハウを活かし、きめ細やかな商圏分析のサポート提供をしています。 https://www.giken.co.jp/ |
【この人に聞きました】
執行役員 マーケティング部 部長 シニアコンサルタント
市川史祥(いちかわふみよし)さん
不動産業、出版社を経て2002年より技研商事インターナショナルに所属。 小売・飲食・メーカー・サービス業などのクライアントへGIS(地図情報システム)の運用支援・エリアマーケティング支援を行っている。わかりやすいセミナーが定評。年間講演実績90回以上。
商圏分析とは
商圏分析とは、店舗に集客できる範囲を分析し、マーケティングに活かすための手法です。商圏とは、来店が予想される見込み顧客が住む地域のことをいいます。商圏の範囲は、見込み顧客の利用状況や競合店の存在などの条件によって異なります。そのため、店舗によって商圏の範囲が異なることが普通です。
それらの条件を加味して経営戦略を立案していくエリアマーケティング手法が商圏分析になります。
商圏分析の目的
商圏分析を行う目的は大きく3つあります。
①.新規出店や店舗開発の事前調査
②.競合店舗、販促対象エリアの把握
③.未来の売上予測
それぞれ解説します。
①新規出店や店舗開発の事前調査
新規出店や店舗開発の際に、商圏分析はかかせません。なぜなら、商圏分析をすることで商圏の市場規模や地理的特性を把握できるからです。どの程度の市場があるのかや、立地の条件をリサーチすることで、適切な経営戦略を立てることができます。
たとえば、どのくらいの交通量があるのか、居住人口はどのくらいいるのか、交通機関や道路などの地理的条件を調査することで、ある程度の需要を知ることができます。また、商圏にいる消費者の年齢や性別を知るなどの定性情報も店舗開発の際の貴重な情報源となるでしょう。
②競合店舗、販促対象エリアの把握
商圏分析は競合店舗のリサーチのためにも行います。消費者の立場からすると、同じような商品やサービスの場合、必ずといっていいほど複数の店舗を比較します。当然、より良い条件で買い物をしたいのは皆同じです。同じような商品やサービスならより安い方で購入したいと思うものでしょう。
そのため、競合店舗や販促対象エリアを分析して、その商圏で適正な価格帯を提示したり、他店舗が展開していないようなサービスを提供したりするなどの戦略が必要になります。特に販促対象エリアは、商圏の中で既に競争が激しい場所や、逆に人通りが極端に少ない場所を把握することが、有利な店舗戦略を行うためにかかせません。
競合店舗や販促対象エリアの把握は、戦略策定にもなるのです。
③未来の売上予測
未来の売上予測を立てる際にも商圏分析は活用されます。たとえば、新規店舗のみならず既存店舗の場合でも、撤退の判断や追加投資の判断を行う際には、数値を把握することがかかせません。数値分析は消費者動向と外部環境の動向の分析が必要です。
消費者動向は、商圏内の見込み顧客の年齢層や性別を分析して、どのくらいの来店が見込めるのかを数値で分析します。外部環境は、商業施設や駅などの人流に影響する地理的条件や競合店舗の増加や撤退などを調べます。
これらも消費者の動きに影響を与えます。これらの数値を加味して未来の売上予測を立てることが大切です。
商圏分析で使うデータ
商圏分析ではさまざまなデータを用います。
たとえば以下のようなデータが一例としてあげられます。
・住民の人口
・世帯状況
・年齢
・性別
・移動手段
これらの基本情報や消費者動向を知ることで、店舗の将来の方向性や、商品やサービスのターゲットを明確化できます。その結果、競合他社との差別化も行えるでしょう。
商圏分析の使い方
ここからは商圏分析の使い方を解説します。商圏分析の使い方は大きく4つのSTEPに分類できます。
STEP1.必要なデータの特定
STEP2.商圏範囲を明確化する
STEP3.データの分析とレポートの作成
STEP4.分析結果を元に戦略を立て実行する
それぞれ解説します。
STEP1.必要なデータの特定
まずは商圏分析に必要なデータを特定します。具体的には、顧客や競合店の住所をマップ上に記していきます。商圏の状況を可視化するためには、必要な情報のマッピングが必要です。可視化できたらると、マッピングされた地図を見ながら、競合店との距離感や地理的な問題や条件を把握していきましょう。
STEP2.商圏範囲を明確化する
商圏分析に必要なデータを特定できたら、次は売上が見込めるエリアの特定を行います。
たとえば、店舗の中心に半径数kmの円を描き、商圏を設定していきます。この際に適切な商圏は、周辺の人口や店舗の立地や状態などの複数のデータを参考にします。
また、商圏内の人口や世帯数などは国勢調査データや人口推計などの統計データを活用しましょう。その他、顧客に移動手段や来店目的などのアンケート調査を行うことも、分析に必要なデータを集めるために有効です。
STEP3.データの分析とレポートの作成
商圏範囲が明確になったら、次は収集したデータを元に分析を行いましょう。現状の商圏の状況を分析し、地域特性を見極めていきます。また、分析結果を行う際はレポートを作成すると効果的です。誰が見てもわかりやすいように、グラフや地図を活用して可視化すると分析が行いやすくなります。
STEP4.分析結果を元に戦略を立て実行する
データの分析を行ったら、その結果を基に戦略を立て実行しましょう。これまでの商圏分析のデータを参照することで、エリアの特性に合わせたマーケティング施策を打ち出すことが可能です。
商圏分析のポイント
商圏分析には2つのポイントがあります。次に紹介するポイントを押さえることで、商圏分析の成功が達成しやすくなるでしょう。ポイントは次の通りです。
①適切な商圏設定
②定期的に商圏分析を実行する
それぞれ解説していきます。
①適切な商圏設定
間違った商圏設定は、思わしくない結果を招きます。商圏分析を成功に導くためには、商圏の的確な見極めが大切です。ただし、商圏の見極めは容易ではありません。商圏分析には、専門のソフトやツール、アプリなどを使うことをおすすめします。
②定期的に商圏分析を実行する
商圏の状況は常に変化します。そのため、常に最新の状態をリサーチしておく必要があります。商圏分析を一度行ったから安心するのではなく、変化に対応するために定期的に分析を行いましょう。
また、商圏分析を繰り返すことで、データが蓄積され、分析の精度も高まります。ぜひ、継続して商圏分析を行い、経営戦略に活かしてください。
エステサロン向け商圏分析のおすすめサービス
エステサロンを運営している方向けの商圏分析サービスに『タカラベルモント サロンの商圏分析サービス』があります。
たとえば、エステサロン運営の際には、
・ビジネス市場はどれくらい?
・市場にはどんな競合店があるのか?
・商圏はどのくらいの範囲なのか?
このようなお悩みがあるのではないでしょうか。このような悩みに対しての明確な答えがないと、マーケティング施策を行うことはむずかしいです。サロンの商圏分析サービスでは、これらの問題を解決するための情報を提供しています。
具体的には以下のような情報を得ることができます。
・商圏設定図
・男女別人口分布図
・昼間人口分布図
・商圏内世帯特性
・年齢別人口構成グラフ
・商圏内駅乗降者数
・居住者PFD
サロンビジネスを成功させるために、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。
まとめ
商圏分析の目的は以下の3つです。
①新規出店や店舗開発の事前調査
②競合店舗、販促対象エリアの把握
③未来の売上予測
これらの目的を達成するために、商圏分析が必要となります。商圏分析ではさまざまなデータを元に、競合店舗や地理的な問題や条件を把握して経営戦略に活用します。本記事では商圏分析を実行するSTEPも紹介しましたので、ぜひ参考にして商圏分析を行ってみてください。