コロナ禍前後で商圏に大きく変化がありました。ニュースでも人流の増減の報道が連日取り上げられています。コロナ禍では、人の消費に対する意識にも変化があったため、改めて商圏を分析し、販売戦略を行う必要があります。
この記事では、自社の店舗ビジネスを経営されている方や、マーケティングの担当者、経営戦略の担当者向けに、コロナ禍前後での商圏の変化や、コロナ禍で増えた行動と減った行動、具体的なデータ活用法を紹介します。コロナ禍の販売戦略のための商圏分析の参考にしてください。
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【技研商事インターナショナル】とは エリアマーケティングGIS(地図情報システム)の開発、販売、サポートを行なっています。2,000社以上の導入実績によるノウハウを活かし、きめ細やかな商圏分析のサポート提供をしています。https://www.giken.co.jp/ |
【この人に聞きました】
執行役員
マーケティング部 部長
シニアコンサルタント
市川史祥(いちかわふみよし)さん
不動産業、出版社を経て2002年より技研商事インターナショナルに所属。
小売・飲食・メーカー・サービス業などのクライアントへGIS(地図情報システム)の運用支援・エリアマーケティング支援を行っている。
わかりやすいセミナーが定評。
年間講演実績90回以上。
コロナ禍前後で商圏の変化
コロナ禍前後では人流動向が劇的に変化しました。たとえば、感染拡大予防のために在宅勤務になった影響で、毎日通勤途中に立ち寄っていたコンビニやカフェに通わなくなったという人はたくさんいます。
また、コロナ禍前後の期間を比較すると、都市部やオフィス街に滞在する人口は減少している一方で、在宅勤務により住宅街の人口は増加傾向にあります。在宅勤務により通勤が減ったという事実もあります。
そのため、コロナ前と比べて、オフィス街や都市部の場合は、これまで見込めていた通勤途中の客層に変化がありました。特に会社員がよくランチで利用するような飲食店などは大きく影響を受けています。コロナの影響により自粛する人も多くなったので、外出する人が減少し、大手のショッピングモールでも客層の変化がありました。
同じく、エステサロンでもコロナ禍以前、以後とでは遠方から来ていたお客様が来なくなったり、お客様の層に変化があったという声を聞きます。
コロナ禍では商圏変化を把握することが大事
昨今のコロナ禍の影響により、商圏が変化した業種や業界も多くあります。たとえば、ある大手のショッピングモールの場合、コロナ前と比べて客層が大きく変化しました。そのため、商圏の変化を的確に把握したうえで、ポスティングの見直しや、メニューの変更などの定期的なチェックが欠かせません。
商圏が変化すると、顧客ニーズの変化により、必要となるマーケティングも変わります。ここからは、具体的な商圏の変化を把握するポイントを解説します。
人の流れの変化を定量的に把握する
昨今のコロナ禍の中では、人の流れの変化を定量的に把握することが大事です。定量的とは数字で把握することをいい、グラフやパーセントで分析する指標となります。定量的に人の流れを把握するためには人流データを読み取る必要があります。次の見出しで詳しく解説します。
人流データを読み取る
人流データとは、人が外出している数を定量的に把握するものです。たとえば、ニュースで「繁華街の人がコロナ前に比べて10%減った」や「緊急事態宣言時に比べて人の数が30%増えた」といった情報は人の流れの数を表している人流データになります。
人流データは携帯電話やスマートフォンに掲載されているGPSのデータを元に統計化され、データ化されます。人流データが普及してきたのは、GPS端末が発達した最近のことで、それまでは国勢調査や事業所統計調査のデータを利用していました。
従来の方法ではアナログのため、流動性の高い人口を把握できないという課題がありましたが、技術の進歩により解決しています。今では、平日と休日の人流の量や、期間ごとの変化も把握できるようになりました。
ニュースで報道されるような、具体的な数値はもちろん、地図上の変化の様子も把握できます。そのため、ビジネス街と繁華街の人流が地理的にどう変化しているのか、などの関連性も推測可能です。
このように、人流データで読み取れる情報は多岐に渡ります。
売上予測
人流データを活用することで、売上予測を立てることが可能です。たとえば、飲食店の場合だと、店の近くを通る人の数で、来客人数を見積もるという方法があります。来客人数に客単価をかけることで、大体の売上予測を立てられます。
また、人流データを使うことで、店の周辺にどれくらいの人が滞在しているのかも把握することができます。朝の通勤時間帯やランチ時間、夕方以降の帰宅時間、ディナータイムと言ったように、時間帯ごとに見込み客の人数を調べることが可能です。
これらを把握することで、新規店舗の出店を計画している場合も、売上予測により、成功確率の高い経営戦略が行えます。
実勢商圏の把握
実勢商圏とは、実際にお客様がいる地域のことです。顧客データを参考に、顧客がいる地域を分析します。実勢調査を行わないと、無駄なマーケティングコストが発生するリスクがあるため、店舗の見込み客がどこから来ているのかを正確に把握する必要があるのです。
たとえば、実勢調査を行わずにポスティングや新聞折込、広告を出稿すると、無駄な経費がかかってしまいます。実際に足を運べる地域に住んでいる顧客に対してアプローチをすることで、正確な販売戦略を実行できます。
実勢商圏の把握ができれば顧客分布や市場占有率などで分析し、想定していた商圏と比べることで、想定よりも顧客が獲得できている地域や、反対に獲得できていない地域の把握も可能です。その結果、成果につながる販売戦略や出店戦略を行えます。
競合分析
店舗ビジネスを成功させるためには、競合分析を欠かすことはできません。競合のマーケティング戦略を知ることで、自社の店舗の軸足も変わってくるでしょう。従来なら、自社の店舗の分析は来店客調査などを行うことで実勢商圏を把握していました。
しかし、競合店舗の実勢商圏についてまでは分析することができません。そのため、競合の実勢調査は予測や想像でしか把握できなかったのです。それが今では人流データを活用することで、競合の実勢商圏を知ることができます。
その結果、より成果につながる経営戦略が可能となったのです。
エステサロンでいえば、徒歩圏内に住んでいる人へ訴求するために看板やポスティングを強化したり、オンラインの広告では出稿範囲を狭めたりすることでコロナ禍の商圏の変化に対応していくことができます。
コロナ禍前後でのキャナルシティ博多の来訪者の変化の例
自店舗周辺の商圏の変化はどのようにチェックすればよいかわからない、というサロン様も多いと思います。以下では商圏ツールを使用した商圏の変化を見ていきます。
キャナルシティ博多の来訪者数をコロナ禍前後で見てみると、コロナ禍前の2020年1月〜2月は推定来訪者数が572,933人だったのに対し、コロナ後の2021年1月〜2月は349,022人と減少していることがわかります。
この人流データにより、コロナ後は地域密着型にシフトしていったことが可視化され、読み取ることができます。
さらに詳しく見ていくと、2021年の来訪者は一時的に減少しているものの、福岡市内からの来客数は相対的に保っていることもわかります。
これらを把握することで、来訪者の属性の変化によるポスティングの戦略変更や、ターゲティングの見直しからメニュー変更など、定期的なチェックが可能となります。具体的に数字を出すことで、集客につながるアクションも取りやすくなるでしょう。
また、直近のGPS位置情報データを活用することで、緊急事態宣言のような社会変動も迅速に評価することが可能です。
商圏の変化に対応するにはKDDI Location Analyzerがおすすめ
人流データを正確に把握し、商圏の変化に対応するにはKDDIGISがおすすめですKDDI Location AnalyzerはGPS位置情報ビッグデータを分析できる、革新的な商圏分析ツールです。たとえば、auスマートフォンのGPS位置情報と属性データを活用することで、鮮度と精度の高い分析が可能です。
具体的にはGPS分析機能により、いつ、どこに、どんな人がいるのかを分析できます。商圏の例だと、以下のような施設分析が可能です。
- 来訪者属性分析
- 来訪者居住地分析
- 3地点来訪者居住地分析
- 併用分析
- 単点分析ダッシュボード
- 時系列来訪者比較分析
また、通行人数や滞在人数などのエリア分析では以下のような内容ができます。
- 通行人口分析
- 滞在人口分析
- 単点分析ダッシュボード
その他にもオプションなどで、売上につながる詳細なデータ分析が可能です。無料トライアルも実施中ですので、一度試してみるのもよいでしょう。
まとめ
コロナ禍前後で人の流れは大きく変わりました。ニュースなどの報道でも人の数が変動したことは連日報じられています。商圏分析を行うことで人流の変化にも対応し、変化が激しい時代の販売戦略も可能となります。
実勢商圏を分析することで、この先の店舗戦略も変わってくるでしょう。本記事で紹介した人流データや実勢商圏の分析を参考に、コロナ禍の中で取るべき自店舗の行動を明確にしてください。
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