糖アルコールのエリスリトールに腋臭菌抑制効果 ニオイ抑制に新アプローチ
ロート製薬株式会社(大阪市生野区/代表取締役社長:杉本雅史)は10月28日、糖アルコールの一つであるエリスリトールが腋臭菌抑制効果を持ち、ニオイの抑制効果を持つことが明らかになったと発表した
なお、この成果は、物産フードサイエンス株式会社(東京都千代田区/代表取締役:横山昌己)との共同研究により、糖アルコールにおける腋臭菌及びニオイへの影響に関する研究を進めた結果わかったものだ。
今回の研究では、様々な糖アルコールにおいて腋臭菌に対する効果を調べ、さらに腋臭菌に対して効果のあったエリスリトールにおいて、実際に腋のニオイへの効果を検証した。
具体的には、各糖アルコールを培地に含有させ、腋臭菌に対する抑制効果の濃度依存性を調べた。その結果、複数の糖アルコールにおいて腋臭菌の抑制効果が確認され、濃度依存的にその効果が高くなっていく傾向が確認された。
中でもエリスリトール(Erythritol)は高い腋臭菌の抑制効果が確認され、その効果は虫歯菌に効果があることが広く知られているキシリトール(Xylitol)よりも高いことがわかった(図1)。
また、腋のニオイの強い被験者18名を選定し(16歳から60歳までの日本人男女から選定)、入浴後に右腋にエリスリトールを含む試験液を、左腋に含まない試験液を塗布し、左右の腋のニオイの変化を臭気判定士により評価した(図2)。
さらに被験者の腋の菌叢解析を行った結果、腋のニオイの強い人は、弱い人とは異なる菌バランス状態となっていることが示唆された。また、エリスリトールにより菌バランスの状態が改善されることが確認された。
同社は、この結果について、腋のニオイを改善するためには、腋臭菌を殺菌するだけではなく、菌バランスを改善することが重要であることを示唆しており、エリスリトールは菌バランスを改善することでニオイを抑制している可能性があると考えている。
また同社は今後について、本研究成果を応用し、菌バランスという腋臭へのアプローチによって、より効果が高く、かつ安全性の高いデオドラント製品の開発が期待できるとしている。
なお、同研究成果はJournal of Cosmetic Dermatologyに掲載され、さらに「日本味と匂い学会第55回大会」、「IFSCC Mexico Conference 2021」で発表された。