タンパク質のSPARC、コラーゲンの産生を高めることを発見

 

花王株式会社(東京都中央区/代表取締役社長執行役員:長谷部佳宏)は10月18日、生体に存在するタンパク質のSPARC(スパーク)(Secreted protein acidic and rich in cysteine)が、複数の種類のコラーゲン産生に同時に働きかける司令塔としての役割を果たすことを発見したと発表した(図1)。

同社は、肌のハリにとって大切なコラーゲンに着目し、長年SPARCについての研究を進めてきた。

今回、SPARCの4型と7型コラーゲンへの働きに着目し、SPARCを培養した真皮線維芽細胞と表皮細胞それぞれに添加したところ、いずれの細胞でも4型と7型コラーゲンの産生が高まることを確認した※1。

さらに、3次元皮膚モデルにSPARCを添加したところ、4型と7型コラーゲンが基底膜に蓄積し、基底膜の形成を促進することもわかった(図2)。これらの知見から、SPARCは複数の種類のコラーゲン産生に同時に働きかける司令塔としての役割を果たすことが、初めて明らかになった。

また、SPARCと光老化との関係性を調べるため、同一人物の紫外線により老化が進んだ部位(光老化)と紫外線があまり当たっていない部位を比較したところ、前者の部位ではSPARCが減少していることがわかった※2。
このことから、光老化した肌ではSPARCの産生が低下し、4型と7型コラーゲンを生み出す力が衰え、基底膜の構造的劣化に関与すると考えられた。

なお、これらの研究結果は第53回日本結合組織学会で発表された。

※1:遺伝子発現解析とタンパク発現解析により評価

※2:抗SPARC抗体を用いた免疫組織染色により、SPARCを産生する細胞数を定量的に評価