肌内部のエラスチン線維の「質」は年齢で異なる ファンケル、直接観察で知見獲得

 

株式会社ファンケル(神奈川県横浜市/代表取締役社長CEO:島田和幸)は9月29日、研究により、肌内部のエラスチン線維の質を表す形状の違いや肌表面のシワとの関係に関する知見を得たと発表した。

エラスチン線維は皮膚の真皮の上層に存在し、従来の技術では、生きている人間の皮膚内部にあるエラスチン線維を観察することは困難であった。

そこでフェムト秒レーザー※1搭載の最新機器技術レーザー光を走査させることにより、皮膚内部の細胞小器官やエラスチン線維から自家蛍光※2画像を得られる顕微鏡である「MPT Compact」を導入。エラスチン線維を直接観察することに成功した。

※1:フェムト(1×10-15)秒という超短いパルス幅を持つパルスレーザー(超短パルスレーザー)

※2:エラスチン線維やコラーゲン線維のような生物学的構造が、光を吸収した際に起こる光の自然放出(フォトルミネセンス)

その結果、エラスチン線維の「質」を表す形状はさまざまな状態で存在し、年齢によって異なることが分かった。

若い人のエラスチン線維は、細くて直線的に網目構造を保ちながら存在していることが多かったことに対し、年齢を重ねるごとにエラスチン線維は、太く縮れて断裂し、網目構造を保てなくなっていることを発見した(図1)。

そこで、エラスチン線維の「質」を年代別に明確にするため、20代から60代の女性35人を対象に目尻のエラスチン線維を観察し、線維の太さと網目構造の視点でスコア化して比較した。

その結果、加齢に伴いエラスチンスコアが低下し、エラスチン線維の「質」が低下していることが分かった(図2)。

さらに、エラスチン線維の観察とともに、目尻のレプリカを採取し、シワの目視判定を行った。

これにより得られた結果をスコア化し、シワスコアとエラスチンスコアの関係を調べたところ、シワスコアとエラスチンスコアには相関が認められ、エラスチン線維の「質」が低下するほどシワが多くなることが分かった(図3)。

これらの結果から、加齢によりエラスチン線維の「質」の低下が、シワなどの老化兆候に起因していることが生体内観察において初めて確認することができた。

今回の研究結果について同社は、「この新たな技術により、今後さまざまな年代におけるエラスチン線維の解析を行うことで、それぞれの状態に最適なスキンケアアプローチが提案できるようになることが期待されます。また、スキンケアによる肌変化の一つの指標として、エラスチン線維の変化を捉えることが可能となります。今後も加齢による線維構造の変化の要因に関する研究を進め、次世代のアンチエイジング化粧品の研究開発を進めてまいります」とコメントしている。