お客様とともに学び、感動をつくることが成功への第一歩【株式会社ワム 代表取締役 山田 勝利】

 

異業種からの参入企業を成功へ導く仕組みづくり

コロナ禍となってからの3年間を振り返ると、弊社は社員のがんばりのおかげで何とか持ちこたえられた印象があります。年ごとの自社製品導入数は維持し、取引先企業は逆境にもかかわらず増えたほど。そして、新規取引先のなかには、異業種から参入した企業が目立ちます。美容業界が盛り上がるきっかけになり喜ばしいと同時に、懸念事項は「機器を購入して終わり」というケースが多いこと。機器だけを購入してビジネスを始めると、価格競争に巻き込まれたり、知識不足でお客様からの信頼が得られなかったりして経営が立ち行かなくなるのは目に見えています。ですから弊社としては、メーカーとして責任を持って、サロン運営をトータル的にサポートし、成功に導きたいと考えています。

実は今、スタートアップ企業を成功させるためのプロジェクト「WSC(ワムサブスクリプションチェーン)」を進めているのです。異業種から参入した場合、まず必要になるのは美容業界の商習慣を知る機会。弊社にはグループ企業で運営しているエステサロンがありますので、そこで10日間ほど集中して学ぶことで、サロンにおける基本的な接客や施術を身に付けられます。希望があればそのまま店舗で実務をこなし、さらに経験を積むことも可能。このように、実際にサロン経営を始めた際に自信を持って運営していけるような、成功への仕組みづくりを検討しています。

ルールを守り、信頼される美容業界をつくっていく

昨今、結果ばかりを重視し安全性に問題がある機器を使用するサロンや、集客のため安売りをしすぎるサロンがあるという話を聞きます。機器でトラブルが起きれば美容業界にマイナスなイメージが付き、単価を安くしすぎると長時間労働や価格競争で疲弊してしまいます。ぜひとも結果・安全性・経営効率は同時に考えていただきたいものです。

サロンが取り組むべきは、技術や接客のクオリティを上げ、単価を上げていくこと。その考えを広げるため、2年前から「優良認定店制度」を導入。弊社の考えに賛同し、ルールを遵守してくださるサロンに資格を取ってもらい、弊社が“信頼できるサロン”として認定する制度です。現在では約300店舗にまで輪が広がり、認定サロンには弊社で行なう勉強会や、(一社)エステティックグランプリのセミナーなどで、勉強を継続してもらっています。

また別の取り組みとして、お客様に他サロンへの簡単な講演や、展示会でのデモンストレーションを依頼することも。最初は引き受けてもらえるか不安でしたが、心配は杞憂に終わり、多くの方に快く対応いただいています。参加したお客様にも好評で、“ともに学び、よりよい業界をつくる”という理想像の共有が、お客様それぞれのやりがいある仕事につながっているのだと思います。

今後の目標は、サロンオーナーと協力し合いながら美容業界のレベルアップに尽力しつつ、先述したスタートアップ企業向けのプロジェクトを展開すること。サロンオーナー、エステティシャンが高単価収益を得られるビジネスモデルを確立し、サロン運営を支援していきたいと思います。

経営者の選択“成功の鍵” ー追求するべきは幸せ 利益はその後届くもの

ホールディングス化する前から「ありがとうの笑顔を増やそう」が、根本の企業理念です。人の幸せを考えるのが自分の一番の幸せといいますよね。同様に、弊社の社員の幸せを考えるのが私の仕事であり、社員はお客様の成功と幸せを考えるのが仕事だと思っています。そうすることで幸せが循環する。これが最終的に利益につながります。利益を追いかけても、利益は上がるものではありません。幸せを追いかけ、人の役に立つ、誇りを持てる仕事をすることが大切です。

株式会社ワム

代表取締役 山田 勝利

2007年に(株)ワムに入社。マネージャーとして、同社の肝である人材の育成に長く携わる。2018年、(株)ワムホールディングスの設立にともなって(株)ワムの代表取締役に就任。従来の機器や化粧品などの販売に加え、コンサルティング事業など、事業内容の多角化にも力を入れている。

COMPANY DATA

美容機器や化粧品の製造企画・販売、エステサロン事業などを行なう。2013年発売の『ハイパーナイフ®』は、業界トップクラスの認知度を誇る。2019年には機器の利用、採用、教育、メニュー構成などを提供するサブスクリプションサービス「NBSS」を開始。2022年10月に『ハイパーポレーションプロ』をフルリニューアルして発売、好評を博す。