エステ・美容医療サービスに関する消費者問題についての建議
内閣府 消費者委員会は2011年12月21日、「エステ・美容医療サービスに関する消費者問題についての建議」を以下のように発表した。
近年の美容や健康、癒しに対する意識の高まり等を背景として、エステ・美容医療サービスは広く普及し、定着してきた感がある。こうした中、全国の消費生活センターには、毎年1万件近くのエステ・美容医療サービス関連の相談が寄せられている。 最近の全国消費生活情報ネットワーク・システム(以下「PIO-NET」という。) に寄せられた相談情報をみると、エステによって皮膚にやけど状の障害やシミ、ただれが生じた等、身体に危害を受けた情報(危害情報)の全体に占める割合が年々増えてきている。さらに、無資格者によるエステとしてレーザー脱毛、アートメイク、まつ毛エクステンション等の施術が行われたことがうかがえるケースも見受けられる。また、美容医療サービスについても、施術後、広告の価格とは大幅に異なる代金を請求されたというケースや、あるいは、説明不足に起因すると思われる治療結果についての相談が少なからず見受けられる。 上記に掲げた事例をみると、消費者自身が、氾濫している情報に惑わされることなく、自ら判断するといった意識が必要なのはいうまでもないが、これだけで被害防止を図るには限界があり、制度上等の課題に対して適切に対応していくことが重要である。
以上を踏まえ、消費者委員会としては、エステ・美容医療サービスに関する消費者問題が発生している原因・背景を探るべく、本年10月及び11月に消費者基本計画 の検証・評価・監視の一環として「関係省庁ヒアリング」を行った。
さらに、本年10月以降、消費者からの相談が多い10都道府県、9政令市及び2特別区、並びに関係団体からのヒアリングを行うと同時に、本年11月中旬から12月上旬にかけて、上記都道府県等を対象に書面調査を行い、また、エステ・美容医療サービスを利用した経験がある消費者を対象にアンケート調査を行った。 その結果、関係省庁においては、関係部局間の連携体制や制度上の課題があり、結果として、不適切な広告の蔓延、健康被害の苦情、衛生管理面の不安、無資格者による営業等の実態が明らかとなった。
消費者委員会は、こうした調査結果を踏まえ、厚生労働大臣及び内閣府特命担当大臣(消費者)に対して、次のとおり、消費者庁及び消費者委員会設置法に基づき建議する。 さらに、消費者委員会は、この建議への対応について、厚生労働大臣及び内閣府特命担当大臣(消費者)に対して、平成24年6月までにその実施状況の報告を求める。
●詳細掲載ページ
https://www.cao.go.jp/consumer/iinkaikouhyou/2011/1221_kengi.html