日本エステティシャン協会(現日本エステティック協会)の初代会長、故・芝山みよか氏の著書『Esthétique de Shibayama』(エステティック・シバヤマ 美顔術、1991年8月、シバヤマ美容研究所発行)には、エステティックについて以下のように紹介されています。

「エステティック」という言葉は、18世紀のドイツの哲学者、アレクサンダー・ゴットリープ・バウムガルデンが唱えた“美学(エステティック)”に由来しています。バウムガルデンは“美学は感性的認識の学である”と定義し、美しさを哲学的に考える学問がはじめて登場しました。人間の基礎的な美しさを追求する美容術、エステティックは、このバウムガルデンの言葉からきています。今日では欧米でも、エステティックといえば“美学”をさし、もう一つの使われた方として美容術のエステティックを意味します。(中略)
(エステティックを)大きく分類してみると、メディカル・エステティックとソワン・エステティックに分けることができます。

メディカル・エステティックは、その名の通り医師が行う分野で、医療的な技術や器具、薬品を使い、時には手術も行います。ソワン・エステティックの“ソワン”とはフランス語で看護、世話という意味があり、つまりソワン・エステティックは、エステティックによる手当と直訳できますが、かんたんにいえばエステティシャンが行う美容術の範囲を示します」。

※引用文献:芝山みよか著『Esthétique de Shibayama』(エステティック・シバヤマ 美顔術、シバヤマ美容研究所発行)

エステティックの定義

現在日本には、医師や理容師・美容師等のように、エステティックの業務に関わる範囲等を定めた法律や、エステティックに従事する技術者エステティシャンの身分を定めた法律はありませんが、他の業種と区別したり、法律の規制対象とするために定義づけされたものはあります。

(1)総務省「日本標準産業分類」の定義

(分類番号 小分類番号789 細分類番号7892 エステティック業)
「手技または化粧品・機器等を用いて、人の皮膚を美化し、体型を整えるなどの指導または施術を行う事業所をいう」

(2)特定商取引に関する法律の定義

「(いわゆるエステティックとは)人の皮膚を清潔にし若しくは美化し、体型を整え、または体重を減ずるための施術を行うこと」

 (3)エステティック業界内の定義

業界の統一基準として、一般社団法人日本エステティック振興協議会では、エステティックを次のように定義づけています。なお、現在同協議会において、業界統一基準の見直し作業が進められており、現段階での参考資料として紹介しておきます。

「エステティック」とは、一人ひとりの異なる肌、身体、心の特徴や状態を踏まえながら、手技、化粧品、栄養補助食品および、機器、用具、等を用いて、人の心に満足と心地よさと安らぎを与えるとともに、肌や身体を健康的で美しい状態に保持、保護する行為をいう。

また一般社団法人日本エステティック協会では、エステティシャン、エステティックサロンのお客様、そして今後エステティシャンを目指す方々が誤解なくエステティックを理解していただくためにと、以下のように独自の定義づけをしています。

「エステティックとは、全身美容のことであり、手技又は化粧品・機器等を用いて、人の皮膚のお手入れ(スキンケア)、体型を整える(プロポーションメイキング)、リラクセーション等の施術および指導をいう。

エステティシャンとは、エステティックを行う技術者のことである。ただし、以下の行為は禁止する。
・医師免許を持たずに、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為。
・美容師免許を持たずに、パーマネントウエーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくする行為。
・理容師免許を持たずに、頭髪の刈込、顔そり等の方法により、容姿を整える行為。
・疾病の治療を目的として行う医業類似行為(医学的観点から人体に危害を及ぼすおそれのある行為) 。

※引用元:一般社団法人日本エステティック振興協議会ホームページ
http://esthe-jepa.jp/
※引用元:一般社団法人日本エステティック協会ホームページ
https://ajesthe.jp/