企業規模は関係ない店舗型ビジネスのオンライン化

コロナ禍でエステサロンやネイルサロンなど
店舗型美容ビジネスへの影響は大きく、
弊社、 株式会社 SPACE X においても事態は深刻でし たが、
サービスのオンライン化で窮状からの脱 却に成功しました。
対面型のサービスは「プロ がやってこそ顧客は満足できる」という
業界の常識を壊すことがウィズコロナには必要です。
弊社の挑戦が経営のヒントになれば幸いです。

顧客が本当に求めるモノを知っていますか


●提供スタイルにこだわらない

エステサロンやネイルサロン、 美容院、整体サロンなど、プロが 顧客に対面サービスを施し、
それ に対価を支払う業種はオンライン 化が難しいと言われています。
しかし「高い技術を持つプロが 提供するサービスだからこそビジ ネスが成り立つ」という
常識に囚われていると、大きなチャンスを 逃しているかもしれません。
そも そも「顧客が本当に求めているモノを知っているのか?」が、
商品 やサービスを提供する上では最も 重要なテーマになります。

コロナ禍で在宅ワークや自粛生 活が一般化し、様々な業態がオンライン化に取り組む中で
「プロの サービスのオンライン提供」は時代に乗り遅れた感があります。
美容ビジネス業界に目を向けると「プロがやってこそ顧客は満足できる」という常識に囚われ、
オ ンライン化が遅れるうちに「在宅 勤務による運動不足でコロナ太り をする人が急増」という
社会現象 もありました。
また、外出時のマスク着用の日常化で、肌荒れが新たな悩みとなり、
顔のたるみが気になる女性も 一気に増えました。
このような悩みを抱えている人にとって、自分の悩みが解消できるのであれば、
結局のところオンラインでも、オフラインでもどちらでもいいのです。
要は、自分の悩みを解決してくれる商品やサー ビスに関心があり、
その提供スタ イルに「こだわりはない」という ことです。

●勝手な思い込みは禁物

弊社が運営する完全オンライン サービスの購入件数(ハイブリッ ト経営のコンサル・筋膜リリース メソッド・美容イベント含む)を、
2020年と2021年で比較してみると、139件から608件 と約4倍の増加です。

2022年 1~3月時点でも238件と昨年 を4半期ベースでは上回る結果と なりました(図1)。
以上からも おうち美容にかけるサービス面の意識変化が顕著に見てとれます。
もし、私が「お客様はオンライ ンでは満足しない」という勝手な 思い込みによってオンライン化を 避けていたら、このような結果になってはいませんし、倒産の危機に直面していたかもしれません。
繰り返しますが、顧客が求めていることを知ることが、長く愛される商品やサービスの創出には欠 かせません。

新企画の立ち上げとアンケート調査の活用

●事前に、ファンになる仕組み

顧客が求めることを知る方法としてアンケート調査が効果的です。
特に新しい企画の立ち上げや 新サービスを提供する際に、アン ケート調査を実施することで
顧客を巻き込むことができます。
弊社では、オンラインイベントを開催する際に、主に以下の3つ の方法を用います。

・メルマガ
・SNS
・Live配信

この中で顧客アンケート調査を行い、その結果を報告して再度アン ケートを実施します。
これにより、 イベントを一緒に創り上げていく 感覚になってもらいます。
例えば、オンラインイベントを開催する際に、Live 配信で、
「次回のイベントには、芸能人や タレントさんを呼びたいと思っています。皆さんは誰を呼んでほし いですか?」
と視聴者に問いかけ、その結果をまた Live で報告します。
芸能事務所との交渉段階の話や進捗状況など、表に出せる情報をできる限り詳しくLive配信します。
これを何回か繰り返していくことで顧客のイベントへの期待感が高まります。
また、メルマガやSNSでアンケートに答えた顧客は、
そのイベ ントの進捗状況に興味があるので Live 配信を見ることになり、
常に 一定数の視聴が期待できます。
結果、開催されたオンラインイベントには、2週間で2千人以上 の参加者を募ることができました。
普段は見せない裏側を見せられる範囲内で公開し、イベントをお客様と一緒に作り上げることで
楽しみや期待値を高めます。
そして、その後に商品やサービスを提供するわけですが、実は既にファンになっているわけです。

オンライン化の導入!成功への3つの理由

⑴地域に縛られない集客
⑵一対一から一対多で効率アップ
⑶新規顧客へのアプローチ

⑴地域に縛られない集客
店舗型ビジネスは地域性を活か して集客しますが、オンライン化により地域に縛られることなく
全国の顧客層にアプローチでき、さらに国内に限らず海外在住の方にもサービスの提供が可能になります。
これにより、商品やサービス に本当に興味がある人が集まり、 リピート率が高まります。

⑵一対一から一対多で効率アップ
店舗型ビジネスは一人の顧客に 対して一人のスタッフが対応する ので、
店舗としての対応人数に上限があります。当然、 オンラインでは一対多のサービス提供が可能 になり、
その上限がなくなり時間や作業効率がアップします。

⑶新規顧客へのアプローチ
オンライン化の一番のメリットは、新規顧客へのアプローチができたことです。
仕事や育児に多くの時間を割かれ、店舗に通うことが難しかった女性に機会を提供できました。
美容イベントの自宅体験は、仕事や育児で「忙しい」「通う時間がない」を解消し、
リピー ト率もアップしています。

オンライン化の秘訣! 相互コミュニケーション

●動画配信だけでは不十分
「サービス提供をオンライン化 する」というと、
自社が持ってい メソッドやノウハウの動画を作成してネット上に提供する方法が主流ですが、
動画配信だけに頼ると顧客の満足度は下がります。
つまり、本当に学習できているのか、正しい方法でやれているのかが確認できず、
結果、 顧客離れにつながるのです。
多くの現代人は忙しく、空いた時間でいつでも動画が見られると思うと、
結局、先延ばしするだけで視聴することはありません。
そして、そのサービスへの気持ちも徐々に離れてしまいがちです。
しかし、オンラインであっても 「限定性」を持たせることで問題は解決できます。
特にウィズコロナ時代は、オンラインであってもリアルに対面したときと同じようにコミュニケーションが取れるこ とが成功の秘訣になります。
弊社では、サービスをオンライ ンで提供する場合、参加者に動画を送るだけではなく、
Zoom やライブストリーミングなどのツールを活用して相互コミュニケーションを実践しています。
この方法でサービスを提供する ことで、オンタイムで一緒に行うことができ、
参加していることへのメリットを感じてもらいます。
多くの参加者から、
「単なる動画配信は自分一人で受講するだけですが、リアルタイムでつながっていると、
質問したり、 アドバイスを受けることが可能なので助かります」
「家族や職場以外で人と会う機会 がめっきり少なくなっている状況下で、
サークルの集まりのようで楽しいです」
という感想が届いています。
人に会う機会が減った今だから こそ、オンラインでも相互コミュニケーションを取れるシステムが
求められています。 店舗型ビジネスの新たな手法と考えます。

Live配信で購入までの時間を短縮

相互コミュニケーションを取る方法として、前述した Live配信の活用が効果的です。
Live 配信は録画済みの動画と違って、その場で参加者がコメントを送ることで、
配信者に質問や相談できるのが大きな強みです。
顧客の商品購入では、
1認知
2興味、関心
3比較、検討
4購入、申込み
という流れになり、一定の期間が必要ですが、
Live配信を活用することで配信中に一気にこの流れに持ち込めることで、
一人の顧客が商品やサービスを購入するまでの時間を通常よりも短縮できます。
また、配信者の人柄を直接感じることができるのでファンがつきやすくなり、
特にBtoC向けの商品やサービスでは Live配信を取り入れることで、より新規顧客獲得につながります。

オンラインサービス! 販売の成功ポイント

●正しいよりも楽しいが勝つ
オンライン化では、どのような商品やサービスを提供するのかが重要です。
また、リアルと違ってオンラインの場合、人と人が対面で接触しないので空気感も少し変 わってきます。
対面営業で好業績を上げていた 保険のセールスマンが
「コロナ禍でオンライン営業をするようになったら契約件数が減り給料も下が って生活に困ってしまった…」
というコメントがTVニュースで取り上げられていました。
オンラインはオフラインと違って、人と人が対面で会えないため
ノンバーバル(非言語)で伝わることが、オフラインよりも伝わりづらくなります。
前述のセールスマンもそれで契約につながらなかった、と推察できます。
また、自宅にいれば小さいお子さんがいたり、宅急便が届いたりと、
話しに集中できない環境に身を置いている人が少なからずいます。
そのようなときに無理に商品やサービスの説明をしても冷めて しまいます。
人は「正しいことよりも楽しい こと」「自分にとってメリットがあるのかどうか」 に関心があります。
いかに素晴らしいマニュアルでも、正しいだけでは人の心は動きません。
その傾向はオフライン のときよりもオンラインの方が顕著であり、
現場においてはそれを踏まえた上で、従来の方法よりも柔軟に対応するための
教育や指導を施す必要があると考えます。

●共感するからファンになる
コロナ禍で人の価値観が大きく変わりました。
これまで以上に人と人との関わりを欲している人も多く、
簡単に人に会えないからこそ、本当に会いたい人に焦がれることになります。
昨今、出会いがないため結婚相談所に登録する人やマッチングアプリに登録している人が増えているのも、
その一つの例です。
現代社会はモノや情報が溢れており、素晴らしい技術や商品、サ ービスがとても多く、
その中で自社の商品やサービスを購入してもらうには「共感」できるかどうかも決め手になります。
いくら素晴らしい商品だとしても、そこに共感がなければ購入につながりません。

・なぜ、この商品を創ったのか
・なぜ、このサービスを提供して いるのか

この「なぜ」に、人は共感しファンになるのです。
共感型は企業の規模には関係なく、その店舗や商品、サービスに自分(顧客)が共感できるかどうかが重要なのです。

ニーズに合わせた提供! 形を変えることも重要


●常識を壊してみよう
本稿で、オンライン化を取り入れるべき理由についてお伝えしていますが、
オンライン化はあくまでも一つの手段です。
重要なのは顧客のニーズに合わせて商品やサ ービスの提供を変えていくことであると考えます。
繰り返しになりますが、顧客は提供の形がオンラインなのかオフ ラインなのかよりも、

・自分にとってどんなメリットがあるのか
・自分の悩みが解決できるのか

に関心があるわけです。
手前味噌で申し訳ありませんが、弊社の事例のように
「顧客ニ ーズを読み取り時代に合わせて形を変化させる柔軟さ」が求められ ています。
業界の常識にとらわれ ず、常識を壊すことが成功の秘訣ではないでしょうか。
特に店舗型ビジネスでは、今後、 ますます既存店舗でなければできないことが少なくなってきます。
そうなってから慌てるのではなく、今、顧客が求めているものは 何か
「生の声」を聞く機会を増やすことで、
顧客との新たなコミュ ニケーションを図ってください。

株式会社SPACE X (スペースクロス)
代表取締役社長
美体造形家
水野志音

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